広く浅く

秋田市を中心に青森県津軽・動植物・旅行記などをご紹介します。

協働大町ビルの文字

2021-04-28 23:29:26 | 文字・書体
秋田市大町、川反の1本西の大町通り(赤れんが館通り)に「協働大町ビル」がある。かつての「協働社大町ビル」。
1972年にできたビルだそうで【2022年4月25日補足・定礎板に「昭和47年」とあるのを確認】、飲食、雀荘、宿泊、宴会などができるフロア・店が入る。かつてはみちのく銀行秋田支店が1階に入っていたが、2015年始に閉店。空いた部分は耐震補強工事がされた後は、特に何も入ってはいなさそう。一時期、総理就任おめでとうございますとか、飲食クーポン使えますといった告知が張られていた。ひさし上の「みちのく銀行」がはがされた緑色横長の看板が残っている。
車がいる付近がみちのく銀行跡、その上に見づらいが緑の看板がある
みちのく銀行跡と逆の北寄りには、地下駐車場の出入口がある。

入ると下り坂になっていて、駐車スペースが広がるようだ。下り口右側に詰め所があって、以前は係の人がいたが、今はいなそう。坂の下に遮断器が見えるので、今は自動精算に変わったのかもしれない。

全国的には最近、古い屋内駐車場内での作業中に、消火装置が誤作動して二酸化炭素を噴出し、犠牲者が出る事故が続いている。ガス放出の消火設備がある建物は、秋田県内に74、うち秋田市内に34あるそうだが、おそらくここもその1つ。それらしき表示がある。


ここから本題。道路から見て奥まった位置にあるものが、以前から気になっている。
坂を下って駐車場に入る地点の上の表示。

「一時停止/駐車券を受け取つてからお入り下さい」
小さい「っ」が大きいのが、時代を感じさせる。その横の三角形の指す場所は、詰め所方向。

それよりも気になるのが、大きい文字「直進」「右折禁止」。

これが、番付表などで見られる相撲文字に見えてしょうがない。ただの楷書にしては、直線的。
ビル開業時からあるのかと思うが、当時の看板屋さんの筆だろうか。地下だし、向かいのビルのおかげで直射日光が入らないため、状態は良い。ぜひこのままで。


ちなみに、大相撲の番付や場内の電光掲示板の文字は、行司が書いている。
NHKの中継の字幕や取り組み結果一覧の四股名は、デジタルフォント。相撲文字のフォントは多くないが、おそらくダイナコムウェア「DF相撲体」ではないだろうか。
秋田放送局でも使っていて、相撲関係のニュースでは全部の字幕が相撲文字になる。
【29日DF相撲体と推測した理由を補足・中継で使う他のフォントはDFフォントが多そうなこと、秋田局で表示された「下」の3画目が左へ戻っている字形であることから。】
【29日補足・相撲中継の取り組み表の一覧画面での四股名は、十両以上が相撲文字、幕下以下は明朝体(今風のゴシック体的要素を含むフォント。名称不明)で表示される。秋田放送局では、序ノ口から全員相撲文字(というか画面が全部相撲文字)で扱いが違う。】

相撲文字に似たものに、芝居文字(勘亭流)、寄席文字(橘流)、ひげ文字などがあって、まとめて「江戸文字」と呼ぶそうだ。
中学生だった平成初期に、学級目標の横断幕などに勘亭流を使うのが、ちょっと流行った。全国的なのか、母校だけだったのか知らないけど。
「江戸文字勘亭流」という字典(書体見本)を元に作っていた。当時は写研から写植書体が出ていたそうで、江戸文字がある程度一般化はしていたようだ。(むしろ楷書体のような、普通の毛筆書体は、今ほど普及していなかった。ワープロ専用機にぼちぼち搭載され始めた頃だったと思う。)
当時の僕としては、江戸の伝統芸能で見るような手書き文字が、素人がこういう形で使えることに少し興味を持つとともに、その文字を学級目標の表示に選ぶセンス(クラスメイト【29日訂正・ほかのクラスだった】生徒なのか学級担任なのか)が理解できなかった。
今、HG創英角ポップ体が、太くて目立つ文字だからという理由で、適切ではなさそうな場面で多用されるのと同じことがあったのかもしれない。協働大町ビルの駐車場も、そうなのかも。

【29日追記】コメントをいただいて思い出した。大相撲中継で映る、国技館内の力士が入退場する花道~バックヤード(?)の壁などに「テッポウ禁止」といった大きな注意書きが掲示されていて、それが相撲文字。もし、大町ビルの表示が国技館の駐車場にあったら、何の違和感もないことでしょう。

続き・協働大町ビルのほかの手書き看板

コメント (6)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 手形新栄町街区公園完成 | トップ | みんなのうた字幕1・冬の下がン »
最新の画像もっと見る

6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
まるで国技館 (FMEN@現在相撲研究&調査中)
2021-04-29 00:08:36
国技館の中みたいに見えます。
その、相撲の裏である笑点は昔の動画を見てると何回かフォントが変わってます。
寄席文字もいろんな種類があるのでしょうか。

NHK秋田は全部相撲字だけど、中継は基本明朝体で結果を放送するニュース7やニュースウオッチでは毛筆を使ってることが多い気が。
ただ、中継のフォーマットと夜のニュースの中入り後の結果報道画面は昔からずっと変わってない。
いつまでもこれで構いませんから文句ではないんですが。
あと魁新聞はある時期から決まり手がひらがなになりましたよね?
(寄り切り→よりきり、下手投げ→したてなげとか)
送り吊り落としとかも「おくりつりおとし」で読みにくくて仕方がない。
全国紙は漢字なのに…
返信する
テッポウ禁止 (taic02)
2021-04-29 15:57:40
国技館の駐車場なら、違和感ないでしょう。国技館内の「テッポウ禁止」も相撲文字ですので。
笑点は、番組タイトル(ステージ後方の額も)は昔は橘右近、今は橘左近という人が書いているようです。寄席文字=橘流のようなので、正統派の文字だけど書き手による違いなのかも。字幕もフォントではなく、手書きかもしれません。

NHKでは、全国の天気の画面が、昨年だったかかなり久々にリニューアルされたように、変えない時はずっと変えないものです。
新聞で相撲結果は見ていないですが、ひらがなにする必要があるんでしょうか。文字が増えて紙面も取るでしょうし、かえって分からくなりそう。

相撲にさほど興味はなく、付き合いで見ているだけですが、コロナの観客制限により、土俵とその周囲をじっくり見られるようになったと感じます。個人的には行司がおもしろい。かなり派手な衣装だったり、所作が個々人でけっこう違ったり。
返信する
相撲がいつからか好きに (FMEN)
2021-04-30 00:24:44
数年前から相撲がいきなり好きになりまして。
だから相撲ネタも集めてます。
稀勢の里に触発されたんじゃありませんが。
琴奨菊が優勝しそうだとか、正代の結果を松村正代アナが伝えていて気になったり。

行司も幕内だけでも女子大生の卒業式みたいな派手なやつもあったり。
さいきんだと注目してるといつ見ても出てくる「ピン子さん」でしょうか。
毎日背筋伸ばして見に来るおばさんがいて、ネットで話題になってます。
確かに生、全取り組み、ニュースどれで見てもいる!
好角家のかがみです。

NHKでフォーマット変わってないのだと他に震度表示とかでしょうか。
株為替、選挙、地図、高校野球とかかなり変わりました。
あと秋田放送局だと休日夕方の右上の相撲の結果と秋田の天気も長く使ってました。
相撲の結果は近年新しくなりましたが、天気は選挙で臨時放送した日にまだ使ってて驚きました。
返信する
観客席に注目 (taic02)
2021-04-30 23:27:20
客席がまばらになって、目が向くようになりましたものね。
コロナ前は、常連有名人の林家ペーパー夫妻、大村崑さんが来たのを探すのが楽しみだったり。藤井アナウンサーだったか、今日は客席に…と勝手に紹介していたこともありました。生島ヒロシ氏を発見した時はうれしかった。
当分、著名人は来たがらないだろうし、来てもマスクで見つけづらいですね。

地デジ・ワイド画面がすっかり定着し、それらに対応した画面であれば、もう変える必要は低いでしょう。
株為替のような1つの画面にぎっしり詰め込んでしまうのは、放送する側は時間など節約になるのでしょうが、見る側としては戸惑いがち。
返信する
Unknown (Unknown)
2021-05-03 14:57:00
1972年建築となると、農協会館(新築もしくは移転が計画されていて、旧環境部移転の話もあった)より年代物の建物なんですね。

岩手銀行の旧店舗(1969年位)より若干新しいくらいなので、建て替えになってもおかしくはないレベルかもしれません。

みちのく銀行のスペースは、秋田なまはげ農業協同組合矢留支店の仮店舗なんかにはできるかもしれません(隣に農協電算センタービルがあり、農協電算センタービルにあった旧信連本所の個人顧客を継承したのが、後に本店から分割となった矢留支店なので、場所は悪くないかと。仮店舗をブランチインブランチにするケースはあるけども、秋田県農協ビル支店に入れられたら少し厳しいかも)。金融機関跡地は、他業種には利用しづらいと思うので。

この建物は、残しておきたいのと、もっと近代的にした方がいいような気がするところがあって、複雑ではあります。

駐車場の文字などもたしかにそう。
返信する
 (taic02)
2021-05-03 21:16:45
隣のJA秋田電算センターは1980年頃にできたようで、新しくはないけれど、多少は時代が進んだ建物に見えます。
協働大町ビルは、オフィス専用ビルと比べると、造りが少々軽い感じで、それもあってだいぶくたびれた感じはします。
みちのく銀行撤退後、耐震補強工事したので、しばらくは存続するつもりなのでしょう。
上の宿泊フロアは畳敷きで合宿などに重宝されるようですが、このご時世で今後が不安。駐車場の消火設備も考えないといけないでしょう。
このままよりも、思い切って手を入れるのもなくはないかもしれません。
返信する

コメントを投稿