麒麟琳記〜敏腕Pの日々のつぶやき改題

還暦手前の身の回りのこまごま。
スポーツや映画演劇など。

さいとう、やまだ、わたなべ~新劇交流プロジェクトⅡのばんがい

2022年06月30日 | 制作公演関連

弊団の齋藤隆介と、民藝の齊藤尊史さん、

弊団の山田定世と、青年劇場の山田秀人さん。

29名もキャストがいたから、重なる苗字もあった

新劇交流プロジェクトⅡ『美しきものの伝説』。

さる26日、皆様のご支援のもと無事終幕いたしました。

 

たまさか、遠い昔に所属していた東演から7名、

今居る俳優座からも7名と見知った顔の多い座組、

でもあったりして。

そういうわけで、芸術的見地をこえたところで

感ずるところもある舞台になってしまった。

 

例えばカーテンコール。

東演同期入団で、役者として主に脇役を担い、

裏でも道具方として座を支えてきた

星野(尾行役)と奥山(男優A役)が上手ベンチに

背中合わせに座る絵面が染みたのである。

 

同じくカーテンコール。

俳優座から出演のなか一番座歴の浅い高宮(女優F役)が

名優・渡辺美佐子さんの隣という好位置に立ったのち、

今後、座をともに背負うだろう増田(女優E役)の横に移動。

これがまた嬉しい絵柄だったりした

 

その一例うしろ。

盆舞台の中央…いわゆる、どセンターには、東演の、

現在の二枚看板能登(四分六役)と南保(クロポトキン役)が屹立、

そこに俳優座・荒木(野枝役)も凛と加わっていた。

 

ほかにも、並びの中に色々なドラマがあり……泣けた

と。

アンサンブル極まる舞台の、個人的なあれこれはあくまで異色。

同時に『美しきものの~』への思い入れが、

13ステージ×300人分存在したのだろうとも今更思う。

 

(撮影:成毛彰浩)

 

それが「もう」なのか「まだ」なのか、4日前のこと。

 

「やっぱ、おまつりはいいね」ここ数日、

新劇交流プロジェクトを「祭」と捉える声がなんと多いことか。

まつり、祭、政・・・

お届けした芝居は政(まつり)とも近しい作品。

まさに「初演」は政治の季節に上演され、

COVID-19禍延期され、結果的に参院選直前の上演に!

これも「たまさか」なのだろうけれど、、、。

その話は別稿にて

 

おっと。

タイトルのさいとう、やまだは出演者に重なった苗字。

わたなべは、松井須磨子を演じた渡辺美佐子さんと、

尺八指導が渡辺淳さんの重なり。

というのを、危うく書き忘れるところだった。

 

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びこう~新劇交流プロジェクトⅡのじゅうろく

2022年06月27日 | 制作公演関連

尾行とは・・・

「相手に気づかれないように、後をつけていくこと。

後をつけて、その行動を監視すること」

・・・と字引には出ているので、

以下の用法が正しくないのは判っているけれど。

 

千秋楽の空。

 

新劇交流プロジェクトⅡ『美しきものの伝説』

(作/宮本研、演出/鵜山仁、於/俳優座劇場)は

6月26日に無事終幕。

16日に開幕、追加公演含む13ステージ。

 

 

三好十郎『その人を知らず』に続く第二弾。

前作5劇団から今回は7劇団へ。

おおむねこの手の企画は、最低でも三回ないと格好がつかない。

とはいえ。

大がかりなプロダクションになるので、

ひょいひょい出来るものでもない。

あうるすぽっとでの新劇交流プロジェクトが2017年。

Ⅱは2020年の予定だった。

ご想像通りCOVID-19禍で延期になり22年。

であるから、3~4年後にⅢというのが順当なところ。

 

今回、7劇団から制作者が名を連ねたが、

制作トップとともに経営トップのプロデューサーが多数。

恐らく次回作までは意気軒高だろう。

 

そんな先人達を「尾行」した次の世代が、

また異なるシリーズタイトルとともに、

「新劇」を世に問うことを期待している。

 

末筆ながら「尾行」も『美しきもの~』の

登場人物で、大杉栄と野枝を監視する特高警察だ。

 

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うらかた~新劇交流プロジェクトⅡのじゅうご

2022年06月24日 | 制作公演関連

残すは4ステージ。

新劇交流プロジェクトⅡ『美しきものの伝説』

追加公演が土曜夜に加わり、本日ソワレ含め4回。

ダブルキャストの3名はそれぞれ2ステージ。

 

 

そんな客席の両側の壁に、プロジェクト参加

七団体のこれまで上演してきた舞台のポスター。

客席通路を役者が登退場するため

舞台美術的な効果も醸し出しています。

 

客席・ロビーの話でいえば。

各劇団の制作に加え、本作品に出演していない

俳優たちがお客様を迎えています。

 

そして表方に限らず、裏方にも俳優たち。

具体的にいえば衣装と舞台を支えてくれています。

まさに総力を結集した舞台。

 

 

さて、弊ブログの『美しきもの~』シリーズは、

戯曲役名をかな表記で届けています。

本日の「裏方」は、芸術座という劇団で

舞台監督を務める黒子姿だ。

 

演じるは原野寛之。

所属の東演でも役者と舞台監督の二刀流。

私が制作末席にいた頃、初めてプロデュースした

『浄瑠璃の庭』で重要な役で出演、

『大地のカケラ』では主演を担ってもらった。

また、旅制作と舞台監督として九州を巡ったのは

朗読劇『月光の夏』。

外のカンパニーで制作、客演という関係も。

気づけば長い付き合いになる。

 

彼のように久々の再会の俳優もあれば、

はじめましての俳優も多かった『美しきもの~』。

残すは、今日ふくめ3日。

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だんゆう~新劇交流プロジェクトⅡのじゅうよん

2022年06月23日 | 制作公演関連

♪花咲かそ 花咲かそ 死ぬほど生きた人のため
 花は咲いたか 花は咲いたか
 花咲かそ 花咲かそ 未来に生きる人たちのため
 広場の真ん中に 一本の杭を立て
 花で飾れば 人が集まり 祭りがはじまる……  ♪

 

新劇交流プロジェクト『美しきものの伝説』

作/宮本研 演出/鵜山仁 於/俳優座劇場

時/2022年6月16日(木)~26日(日)

 

昨日全13ステージの7ステージ目、ちょうど真ん中。

残すは6回(追加公演1ステ含む)。

ただ。

開幕から6日間は一日一回公演だったのだけれど

今日から4日間で6ステージ、

つまり一日二回が二日あるハードな日程。

例えるなら42.195kmの30km以降がきつい、的な。

・・・あくまで体力的に言えばですが。

 

その一方で稽古から積み上げたものが、

お客様からの反応も得ながら、より良く融合して

……と薦めたいけれど、ごめんなさい

チケットは完売なのです

 

さておき。

弊ブログでは、役名に連動して色々綴ってきたけれど。

【じょゆう】(6/16)以来の『美しき~』で

こたびは【だんゆう】と表したわけですが、

「男優」ではなく、このプロダクション・・・

新劇7劇団合同という志に集う29名のキャスト

+数えきれないスタッフの献身的な働き

・・・は「団友」と呼べるような一体感のもと

(まだ収束はしていないウイルスとも闘いながら)

日々成長しているな~と、

書き手が語れるほど内側にはおらず

制作末席として少しだけお手伝いしているだけながら、

ひしひしと実感する、梅雨の中休みです。

 

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じょゆう~新劇交流プロジェクトⅡのじゅうさん

2022年06月16日 | 制作公演関連

 

 

渡辺美佐子が『美しきものの伝説』で舞台活動引退。89歳、伝説の新劇女優・松井須磨子役でラストステージへ | SPICE - エンタメ特化型情報メディア スパイス

渡辺美佐子が『美しきものの伝説』で舞台活動引退。89歳、伝説の新劇女優・松井須磨子役でラストステージへ #渡辺美佐子

SPICE(スパイス)|エンタメ特化型情報メディア スパイス

 

 

渡辺美佐子 舞台を引退 「美しきものの伝説」を最後に 「元気なうちに」今後も反戦朗読劇:東京新聞 TOKYO Web

 

渡辺美佐子「美しきものの伝説」で舞台出演に区切り 初舞台から68年「元気なうちに」 - 芸能 : 日刊スポーツ

 

今更ですが、さる5月9日に開かれた記者会見の模様をいくつか。

同じ席に記者が集ったわけですから、重なる部分も多いけれど、

なるほど、この社はここを残して、こちらの社が選んだのはそこか、

と改めて読み返しながら、いくつかピックアップしました。

 

弊ブログに関しては『美しきものの伝説』の登場人物名を

タイトルにして届けてきました。

女優、男優も、宮本研の戯曲にあるので今回は「女優」。

 

新劇交流プロジェクトⅡのきゅう(九)から展開してきた

出演者紹介も前回(十二)で28人を紹介。

そのオオトリを、松井須磨子演じる、渡辺美佐子。

 

稀代の女優が、日本の「最初」の新劇女優を。

そしてこの役が「最後」の舞台になるという……。

いよいよ本日開幕です。

 

会場の俳優座劇場。皆様を迎える客席への階段に

『美しきものの伝説』の初演ポスターが飾られています。

(文学座公演/1968年)

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のえ~新劇交流プロジェクトⅡのじゅうに

2022年06月12日 | 制作公演関連

2022年6月16日(木)~6月26日(日)

俳優座劇場にて上演の新劇交流プロジェクトⅡ

『美しきものの伝説』

7劇団29名の出演者と役名をお届けしている四回目。

 

東演と並ぶ最多の七名が参加の俳優座です。

 

安藤みどり・・・モナリザ(上左) 齋藤隆介・・・幽然坊(上右)

荒木真有美・・・野枝(下)

天明屋渚・・・突然坊(上左) 増田あかね・・・女優E(上右)

髙宮千尋・・・女優F(下左) 山田定世・・・男優C(下右)

 

この公演もいよいよ16日開幕。

チケットは追加公演の25日(土)18:30のみございます。

が、それも刻一刻、減ってきております。

そして、明日はいよいよ劇場入り。本日最後の稽古です。

(一部、搬入のみ本夕行いました)

 

 

***

 

伊藤野枝。

28歳の若さで特高により殺害された

婦人解放運動家。夫は大杉栄。

「青鞜社」に参加し、のち編集を担う。

今は雑司ヶ谷霊園に眠る。

 

映画では岡田茉莉子や石田えり。

舞台では真行寺君枝ら錚々たる女優が演じてき、

今回は弊団の荒木真有美が務めます。

 

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ゆうぜんぼう~新劇交流プロジェクトⅡのじゅういち

2022年06月08日 | 制作公演関連

 

上は青年座稽古場にこしらえた新劇交流プロジェクトⅡ

『美しきものの伝説』の仮のセットである。

 

本プロダクションのキャストをここ数回紹介しているが、

今回は、その青年座の面々を、まずは。

 

嶋田翔平・・・ルパシカ

小磯聡一朗・・・音楽学校

古谷陸・・・学生

尾身美詞・・・突然坊1

角田萌果・・・女優B

松平春香・・・女給/女優C

 

次にタイトルの幽然坊は、翻訳家であり、

日本のダダイスムの中心人物の一人と言われる

辻潤(1884-1944)をモデルとしており、

この公演では弊団の齋藤隆介が務めます。

 

また文学座に書き下ろされた1968年の舞台には

幽然坊、突然坊、騒然坊、愕然坊が登場。

今回は、幽然坊(齋藤)、突然坊1(尾身)、

突然坊2(天明屋渚=俳優座)という配役。

左=天明屋・右=尾身

 

さらりと書いたが、ダダイスム。

何かといえば・・・既成の秩序に常識を否定、攻撃、破壊する思想で、

ニヒリズムが根底にあり、第一次世界大戦への抵抗から始まっている。

辻潤のほかに、漫画「のらくろ」で有名な田河水泡も。

 

そして。皆様の御支援により全ステージ完売となりました。

6月25日(土)18:30~追加公演を決定いたしました。

詳しくは 劇団東演 ←こちらまで。

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さろめ~新劇交流プロジェクトⅡのじゅう

2022年06月05日 | 制作公演関連

ルーブル美術館の「モナ・リザ」に

ケーキを投げつける事件があったのは5月29日。

老婆に扮した36歳の男は

「地球を破壊している人たちがいる。

芸術家は地球の将来について考える必要がある」

と主張したとかしないとか……。

 

 

新劇交流プロジェクトⅡ『美しきものの伝説』

この舞台での「モナリザ」は平塚らいてふ

・・・というのは、弊ブログ5/10付に紹介済み。

彼女の興した青踏社に、津田塾の学生時代から参加した

神近市子。本作では「サロメ」と称されている。

 

高校教師、新聞記者、そして政治家へ……。

『美しきもの~』では東京日日新聞で健筆を振るう

市子が登場。演じるは畑田麻衣子

(古田美奈子[東演]とダブルキャスト)

 

ということで本日は、まずは文学座の面々を。

鍛治直人・・・先生

増岡裕子・・・モナリザ

畑田麻衣子・・・サロメ

そして、演出の鵜山仁。

 

さらに、三劇団から五人。

【民藝】

佐々木梅治・・・尾行

齊藤尊史・・・暖村

【文化座】

桑原泰・・・早稲田

【青年劇場】

山田秀人・・・男優B

八代名菜子・・・女優D

 

気づけば開幕まで、およそ10日。

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しぶろく~新劇交流プロジェクトⅡのきゅう

2022年06月04日 | 制作公演関連

堺利彦

1871年1月15日福岡生まれ。1933年1月23日没。

日本の社会主義思想家。共産主義者。著述家。小説家。

 

約束通り、堺の紹介からはじまりました。

新劇交流プロジェクトⅡ『美しきものの伝説』

(作/宮本研、演出/鵜山仁)では「四分六」。

 

「監獄で三度三度のモッソウ飯の米麦の割合をとりまして

四分六」という台詞があります。

そんな彼が社長を務める売文社から本舞台は始まります。

(プロローグ、別にあり)演じるは能登剛。

 

 

あ、総勢29人の役者について、さてどうしよう、と

思っているうちに今日に至ってしまったぞ。

新劇交流プロジェクトに集った劇団ごとに紹介していこう。

まずは、本プロジェクトの中核を成す「劇団東演」。

裏方でも作品を支え、出演も最多の7人。

 

能登剛・・・四分六

南保大樹・・・プロポトキン

奥山浩・・・男優A

星野真広・・・尾行

原野寛之・・・裏方

古田美奈子・・・サロメ

中花子・・・女優A

 

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だんそん~新劇交流プロジェクトⅡのはち

2022年06月03日 | 制作公演関連

男尊女卑。

まだ根強いような、でも随分駆逐されたような

その「だんそん」ではなく、新劇交流プロジェクトⅡ

『美しきものの伝説』に登場する「暖村」。

賢明な読者にはお判りのとおり、

社会主義者・荒畑寒村をモデルにした人物。

明治・大正・昭和を駆け抜け、93歳の大往生。

 

その間に、若き頃に堺利彦・幸徳秋水、

結婚後に田中正造らと出会い、影響を受け、

1912年、大杉栄と『近代思想』創刊。

大杉は5/27付弊ブログで紹介した「クロポトキン」、

堺に関しては、次の回で取り上げる予定である。

 

 

さて『美しきものの~』の時代は男尊女卑が

まだ根強い時代で、そこに光を穿つ人物が多く出てくる。

稽古場では、それが立体化する日々。

 

丁度一週間ぶりの「新劇交流~」の記事となったが、

その間にチケットは飛ぶように売れて、

残すは23木、24金(いずれも夜の回)のみ。

かつ、僅少! 嬉しい悲鳴です。

110年前の日本。

しかし十二分に「今」に連なる舞台に期待が大きいのだろう。

 

 

写真は、東演からの帰り道、酒屋の店頭。

個性豊かなアルコールの缶に、110年前の日本に生きた

劇中の「個性豊かな」人物を重ねて・・・

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