川沿いを歩いていた。
視界の端ギリギリを捉えたのは
ロングセラーの蚊取線香。
一度通り過ぎて、足を止めて
振り返り、焦点を合わせたら
やっぱりキンチョー社製の
あの特有の〈緑色〉のグルグルの
……ただ本来のグルグルよりは
いびつな形でそれは家屋にあった。
詳しく言うと、家外のブロック塀の
さらに外側にぶら下がっていた。
最初に書いたように、川沿い。
きっと様々な虫もいるから、
それを最前線で食い止める作戦だ。
効果には、個人的には疑問符だが。
前日は雨。
余計に対象が発生しやすかったか?
いや雨なら消えてしまうから、
炊いたあとに降って、結果消えた。
それが、下なんだろうか。
引いた絵面は上。
そう、たった一巻での応戦。
頭がパンクしそうなくらいの
十以上のストーリーが湧くけれど、
それと並行して、日本の佳き風景の
スピンオフだと強く思ったのである。
特に1枚目の写真の、
アレスリンからなる蚊取線香を
吊るした黄色い何かの
「たわみ具合」も含めて愛おしい。
ちなみにアレスリンは、
総称ピレスロイドと呼ばれる
殺虫成分を化学合成したものの一つ。
1955年に開発実用化された薬剤。
我々世代には、小柳ルミ子の
「日本の夏、キンチョーの夏」
のコマーシャルが染み込んでいる。
サッカーフリークとして今、
知られている元ヅカのデビュー曲は
『わたしの城下町』。1971年。
天地真理、南沙織と「新三人娘」
……と、それは別の話。
雨上がりの川沿いの蚊取線香に
夏を思った朝。
梅雨入りもまだだけど。
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