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諸田玲子著 「山流し、さればこそ」

2023年08月13日 11時24分21秒 | 読書記

図書館から借りてきた、諸田玲子著「山流し、さればこそ」(角川書店)を読み終えた。


読んでも読んでも、そのそばから忘れてしまう老脳。
読んだことの有る本を、うっかりまた借りてくるような失態を繰り返さないためにも、
その都度、備忘録として、ブログ・カテゴリー 「読書記」に 書き留め置くことにしている。


▢目次
第一章 山間(やまあい)の地へ
第二章 風変わりな隣人
第三章 新参いじめ
第四章 壁の耳
第五章 不意打ち
第六章 化け物騒ぎ
第七章 八方ふさがり
第八章 鬼退治
第九章 甲府学問所
第十章 冬ざれの果て
終章

▢主な登場人物
八木沢数馬(主人公)、多紀(数馬の妻、平山文左衛門の娘)、文太郎(数馬の息子)、
喜八(数馬の下僕)

平山文左衛門(多紀の父親、数馬の舅)、
武陵(富田富太郎、元伊賀同心)、末高友之助・与志(友之助の妻)、
小栗平右衛門・伊登(平右衛門の妻)、

杉浦猪十郎・常(猪十郎の妻)、服部角左衛門、中川紋作・純江(中川紋作の母親)、
松田嘉次郎(勤番組)、
大久保遠江守教近(追手勤番支配)、
蕗(ふき)、多万(たま)、おかつ、荒川屋太兵衛・都万(つま)(太兵衛の後妻)、
松蔵(荒川屋の下僕)、亀屋与兵衛、卯吉(亀屋の幇間)

大久保遠江守教近(追手勤番支配→江戸へ)、近藤淡路守政明(小普請組支配→追手勤番支配)

▢あらまし
無役の小普請だった八木沢数馬は、組頭平山文左衛門に目を掛けられ、組頭の娘多紀と妻帯、小普請世話役に抜擢され、出世の道を歩んでいたはずだったが、突然、「山流し」と蔑称される甲府への転出を命じられた。寝耳に水、青天の霹靂、理不尽な左遷に憤る数馬だったが、従うしか無く、妻多紀、息子文太郎、下僕喜八と共に、甲府へ。そこで見たものは、城下の賑わいとは裏腹に、風紀の乱れた、荒んだ武士たちの姿だった。松田一党による新参いじめ、化け物盗賊事件、謎の女都万、同心長屋の仲間の表裏、刺客とは誰?、武陵曰く、「誰も彼も仮面を被っておるからよ」。
じわじわと巻き込まれいく数馬、複雑な人間関係、思いもよらぬ事実が次々を明るみに出て、思案混迷する数馬、「人を斬る」・・・、武士に二言は無い。
江戸では見えなかったことを、逆境の中で見出した数馬、江戸への帰参を断り、甲府に留まる決意にしたものとは、いったい何だったのか? 「終章」での、隠居の数馬と老女の蕗のしみじみした会話は、表題「山流し、さればこそ」の意味合いを表している気がする。
「山間の地は暑さ寒さがこたえるのう」「四十年も住んでなにをいまさら」・・・、「山流し・・・か」、「随分嫌がっておられましたのにねえ」「住めば都とはよう言うたものよ」・・・・、
老妻の後姿に目を移して、数馬は温和な笑みを浮かべた。


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