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諸田玲子著 「恋縫」

2023年08月29日 17時44分48秒 | 読書記

図書館から借りていた、諸田玲子著 「恋縫(こいぬい)」(集英社文庫)を読み終えた。本書には、恋や、男を惑わす女達の手管・・・等をテーマにした、「恋縫」、「路地の奥」、「竹藪をぬけて」、「花火」の、短編時代小説、4篇が収録されている。


読んでも読んでも、そのそばから忘れてしまう老脳。
読んだことの有る本を、うっかりまた借りてくるような失態を繰り返さないためにも、
その都度、備忘録として、ブログ・カテゴリー 「読書記」に 書き留め置くことにしている。


「恋縫(こいぬい)」(表題作)
▢目次 (一)、(二)、(三)、(四)、
▢主な登場人物 おいと、治助、龍次、おしげ、鳥越の三太、

▢あらまし
娘ざかりのおいとは、江戸入船町の裏店で古着屋を営む父治助と二人暮らしをしていたが、以前、隣りに住んでいて、上方へ年季奉公に行ってしまった、4歳年上の幼馴染の龍次を恋慕い、帰ってくるのを待ち焦がれているのだった。その龍次が、突然帰ってきたが、女が一緒で、別人のように様変わりしており・・・・。追い詰められている龍次、おいとの龍次への健気で熱い恋心、・・・、寡黙で訳有りの父治助が、「おいと、どんなことしてでも、龍次を引き止めろ・・」、言い残し飛び出して行った。命がけで龍次を引き止めるおいと・・、果たして・・・。

「路地の奥」
▢目次 (一)、(二)、(三)、(四)、
▢主な登場人物 静江、吉村恒三郎、春山頌玄、およね、

▢あらまし
武家育ちで吉村恒三郎の若妻静江が、吉村家の縁者春山頌玄の手により、官能に目覚め、懊悩する姿を艶やかに描いている。とうとう、路地に足を踏み入れてしまった。・・・・・、
「寒風が頬をなぶる。ざわめくものを肚の奥にしまい込んで、静江は柔和な顔で厨へ向かった。季節は冬へ移ろうとしていた」

「竹藪をぬけて」
▢目次 「一日目」、「二日目」、「三日目」、「四日目」、「五日目」、「七日目」、
「八日目」、
「十一日目」、「一ヶ月後」
▢主な登場人物 高隹(たかとり)新吾、服部松之助、服部忠左衛門、服部幸江、おさえ、
おとき、秋山屋怱右衛門、熊蔵、寛治・おしず、日燿和尚、

▢あらまし
数ページ読んだところで、登場人物やストーリーが、なんとなく、以前読んだこと有るような気がしてきて、「高隹(たかとり)新吾」、「服部松之助」で、「ブログ内検索」してみたら、諸田玲子著「幻惑」に収録されていた短編時代小説、「誠に面目なき仕儀なれど」の、改稿版、改題版であることとが分かった。
「誠に面目なき仕儀なれど、叔父上さまには、私事、包み隠さず申し置き候。・・・・」、非業の死を遂げた甥の松之助の真相探索する新吾もまた松之助の二の舞い、妖しく魅力的な女おさえに溺れていくの物語。男の本性、純真さ、儚さ・・が滲み出てる作品だ。「女の泪は男を籠絡する最大の武器になる」。下手人は誰?、ミステリー仕立てで、事件の真相が明らかになるのは、最終章になる。
随所に、作者ならではの細やかな風景描写が有り、特に、新吾が、小田原から駆けつけ、いよいよ辻村・・との場面の風景描写は見事である。

「花火」
▢目次 (一)、(二)、(三)、
▢主な登場人物 神田の安二郎、お佐和、松太郎、お勝、荒川屋仁兵衛、佐太次
▢あらまし
数ページ読んだところで、登場人物やストーリーが、なんとなく、以前読んだこと有るような気がしてきて、「安二郎」、「お佐和」で、「ブログ内検索」してみたら、諸田玲子著「幻惑」に収録されていた短編時代小説、「運のつき」の、改稿版、改題版であることとが分かった。
「虚ろなこの世で唯一価値のあることは、胎内に息づく生命が荒川屋の跡とりとして生まれてくること・・・、お佐和は下腹にそっと手を置いた」
うるんだ眸を持ち、男を夢中にさせ、破滅への道を歩ませる、したたかなヒロイン、江戸からの逃避行中、東海道江尻宿の魚町稲荷縁日で、ちょっとした気のゆるみ、油断から、運の尽き・・。真相も知らずに獄門送りとなる神田の安二郎、悪は悪だが、その上にも悪が有った・・・とは。


振り返り記事 
諸田玲子著 「幻惑」
👇
こちら


 


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