足腰大丈夫な内に出来る限り、不要雑物処分・身辺片付け整理をしよう等と思い込んでからすでに久しいが、正直なかなか進んでいない。それでもここ2~3年には、押し入れや天袋、物置、書棚等に詰まっていた古い書籍類等をかなり大胆に処分してきた。ただ、中には「これ、面白そう・・」等と目が止まり、残してしまった書籍もまだまだ結構有る。その中に 漫画家赤塚不二夫著、元東京学芸大学附属高等学校教諭石井秀夫指導の古典入門まんがゼミナール「枕草子」(学研)が有る。多分、長男か次男かが、受験勉強中に使っていた「枕草子」の解説本・参考書の一つのようだが、錆びついた老脳でもなんとか読めそうな、まんがで描いたくだけた内容、その内いつか目を通してみよう等と仕舞い込んでいたものだ。ながびく新型コロナ禍、不要不急の外出自粛中、ふっと思い出して、やおら引っ張りだしてみた。当然のこと、本格的な「枕草子」解説本、参考書とは異なり、限られたサワリの部分に絞ったものであるが、学生時代に多かれ少なかれ齧っていたはずの日本の代表的な古典、清少納言の「枕草子」も、ほとんど覚えていないし、「古典」に疎く、苦手な人間でも、十分楽しめそうで、御の字の書である。
「ワテのセンスを知ってほしいワ」・まんがゼミナール「枕草子」その19
第299段 「雪の、いと高う降りたるを」
雪の日の教養テスト。出題者は中宮定子。問題は「香炉峰の雪。いかならむ」。あらかじめ格子が下ろされているところにヒントが有る。解答者は 女房全員。白居易の詩に引っ掛けたいろいろな解答が有ったが、定子の意にそぐわない。清少納言は、定子の意図を察し、格子を上げさせ、定子の前の御簾を高々と巻き上げる。定子が「私の気持ちがすぐ分かったのね」と莞爾として笑う。傍輩達からは賞賛され、得意気になっている段。
ふー。さぶ。雪、いと高う積りたる。さぶ、寒ぶ、サブ、
中宮定子「これ、少納言、香炉峰の雪は、どないな様子?」
清少納言「はい」、「菊命婦(きくのみょうふ)や、御格子を 開けなはれ」
菊命婦 「???」「あーい」、格子を開け、御簾を巻き上げる、
中宮定子、ニッコリ、
清少納言「遺愛寺の鐘は、枕をそばだてて聴き、香炉峰の雪は、簾をかかげて見る」
女房達「はあー、なーるほどにー!」「とは、だれもが知ってる詩句やけど・・・・」「こんな心憎いやり方は、さすが清少納言」「やはり、中宮様にお仕えするに、最もふさわしい方」
清少納言、ニッコリ、
原文だよーん
雪の、いと高う降りたるを、例ならず御格子(みかうし)参りて、炭櫃(すびつ)に火おこして、物語などして集まり候ふに、「少納言よ、香炉峰(かうろほう)の雪、いかならむ」と仰せらるれば、御格子上げさせて、御簾を高く上げたれば、笑はせ給ふ。人々も「さることは知り、歌などにさへうたへど、思いこそ寄らざりつれ。なほこの宮の人にはさべきなめり」と言う。
(注釈)
雪が、たいへん深く降り積もったところ、いつもと違って御格子をお下ろしして、火鉢に火をおこして、女房達が話等をして集まり、中宮様のそばで伺候していると、中宮様が「少納言よ、香炉峰の雪は、どんなであろうか」とおっしゃるので、私は御格子を上げさせて、中宮様の前の御簾を高く巻き上げたところ、中宮様はにっこり笑いあそばした。その場にいた人達も、「私達も、そういう詩は知っており、歌などにも詠むけれども、全く思い付かなかったわ。あなたは、やはり、この中宮様の女房としてうってつけの人のようね」とほめて言う。
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