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葉室麟著 「辛夷の花」

2024年12月06日 14時59分15秒 | 読書記

図書館から借りていた、葉室麟著 「辛夷の花(こぶしのはな)」 (徳間書店)を、読み終えた。本書は、小藩の藩政を巡る熾烈な闘いに巻き込まれ、凛として家族と共に闘う女性達と、大切な人のために命を掛ける、かたくなまでに清廉な男達を描いた長編時代小説だった。


読んでも読んでも、そのそばから忘れてしまう老脳。
読んだことの有る本を、うっかりまた借りてくるような失態を繰り返さないためにも、
その都度、備忘録として、ブログ・カテゴリー「読書記」に、書き留め置くことにしている。


▢目次
(一)~(二十九)

▢主な登場人物
澤井庄兵衛・志桜里・里江・よし・つる、新太郎、
すみ、新井源蔵、佐野弥七、
小暮半五郎、
船曳栄之進・鈴代、
小竹讃岐守頼近、樋口寅太夫、
稲葉治左衛門・幸四郎・琴、
安納源左衛門・新右衛門、
伊関武太夫・弥一郎
柴垣四郎衛門・小太郎、
堀川三右衛門、

▢あらすじ
九州豊前の小藩、小竹藩(こたけはん)の勘定奉行澤井庄兵衛の長女志桜里(しおり)は、近習の船曳栄之進に嫁いで三年、子供が出来ず、実家に戻されていたが、ある日、隣家に「抜かずの半五郎」と呼ばれる藩士小暮半五郎が引っ越してきた。澤井家の中庭の辛夷(こぶし)の花をめぐり、半五郎と志桜里の心が通い出すが・・・・・。
   時しあれば こぶしの花もひらきけり
     君がにぎれる 手のかかれかし
折しも、小竹藩では、旗本水谷家から養子として迎えられた現藩主小竹頼近と、江戸家老安納源左衛門、筆頭家老伊関武太夫、次席家老柴垣四郎衛門、家老三家の間で主導権争いが激化、藩主に信頼厚い勘定奉行澤井庄兵衛も葬り去られようとする事態となり・・・。
大切な人を守るため、「抜かずの半五郎」が太刀を抜く時が来た。
  「今一度、抜かずの半五郎に戻れと云われますか」、目を瞠って半五郎は訊いた。
  (中略)
  「小暮様が抜こうとされても、わたくしが抜かせはいたしません」
  半五郎と志桜里は顔を見合わせて笑った。
  辛夷の花が朝日に輝いている。
で終わっている
小藩の藩政を巡る激しい攻防と、互いに頑固な、志桜里、半五郎の思いを絡み合わせて描かれているが、終盤の息詰まる戦闘場面と、結末が印象深い。


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