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藤原緋沙子著 「雪見船」

2024年12月14日 06時48分23秒 | 読書記

図書館から借りていた、藤原緋沙子著 「雪見船」(廣済堂文庫)を、読み終えた。
本書は、著者の長編時代小説、「隅田川御用帳(すみだがわごようちょう)シリーズ」第11弾の作品で、「第一話 冬の鶏」「第二話 塩の花」「第三話 侘助」「第四話 雪見船」の連作短編4篇が収録されている。
「隅田川御用帳シリーズ」は、縁切り寺「慶光寺」の御用宿「橘屋」の女主人お登勢(おとせに雇われた、元築山藩藩士の浪人塙十四郎(はなわじゅうしろうが、「慶光寺」の寺役人近藤金吾や、橘屋の番頭藤七等と共に、縁切りを求めて「橘屋」に駆け込んでくるいろいろな女達の様々な事情を探り、絡み合う悪事や謎を解明、愛憎乱れる 女と男の深い闇を、人情と剣とで見事に解決していく、悲喜こもごもの物語である。


読んでも読んでも、そのそばから忘れてしまう老脳。
読んだことの有る本を、うっかりまた借りてくるような失態を繰り返さないためにも、
その都度、備忘録として、ブログ・カテゴリー「読書記」に、書き留め置くことにしている。


「第一話 冬の鶏」
▢主な登場人物
 栗塚三九郎・佳那、佳世、
 楽翁、
 由良美濃守高愛(旗本)、時蔵・おさつ、
 松波孫一郎(北町奉行所吟味方与力
▢あらすじ等
 妻子を顧みることなくなったと橘屋に駆け込んできた絵師三九郎の後妻佳世、
 十四郎、藤七等が、三九郎の素性と、真相を探索していくと、
 愚直な三九郎、先妻佳那、旗本由良高愛、あぶな絵、・・・が繋がり出し・・、
 刀を捨てたはずの元武士三九郎が、襷鉢巻で、大太刀を抜き・・、
 最後に武士の矜持を見せる。
  「佳那・・・・」
  後ろで三九郎の叫ぶような声がしたが、十四郎は振り向かなかった。

「第二話 塩の花」
▢主な登場人物
 富田屋角蔵(塩問屋)・おひな(亡妻)・おいし(家付き娘)・蓑助(入り婿
 おかん、
 千成屋竹次郎、おみさ、
▢あらすじ等
 女房おいしを醜女と蔑み、離縁したいと橘屋に駆け込んできた富田屋の
 若旦那蓑助に、お登勢は大激憤、
 十四郎、藤七等が、富田屋の内情等を散策していくと、意外な事情、事実が浮上、
 悪辣な蓑助と、角蔵に積年の恨みを持つ竹次郎の策謀が絡んでおり、
 おみさは殺され、蓑助は、命拾い・・、
  「とんでもねえ、おいし、お前は輝いて見えていたぞ・・・そうだ、塩の花のように・・、
   清潔で、真っ白くて・・・」

  「蓑助さん・・・」
  (中略)
  アレきかさんせ、アレきかさんせ、アレきかさんせ ♫
  おいしは、小さな声で歌った。

「第三話 侘助」
▢主な登場人物
 新五郎(檜物屋)・新助、
 常吉(竜蔵)・おふき・友七、山城屋市左衛門、
 赤松屋治兵衛(献残屋)・おひさ・おます、
 羽黒屋増右衛門(米問屋
 万寿院・春月尼、
▢あらすじ等
 妻おふき、息子友七を事故で失い、恨みを晴らし、江戸を離れていた常吉、
 娘おひさのためなら命を捨てる覚悟で江戸に戻り、
 墓前に、一輪の白い椿の花を・・・・・、

  「おとつぁん!」
  おひさが常吉の胸に突っ伏して号泣した。
  「馬鹿な奴だせ、おめえ、何も二度死ぬことはねえのによ」
  新五郎も泣いた。
 
「第四話 雪見船」
▢主な登場人物
 美乃(おみの、よしの)・桑名屋三郎兵衛、
 平井豊之進・くみ、
 秋山権太夫・市之丞、
 猿屋銀兵衛、淀屋利右衛門・利助、
▢あらすじ等
 地震で倒壊した建物の下敷きになり、危うく助けられたものの、過去の記憶をを失ってしまった
 美乃(おみに、よしの)は、命の恩人桑名屋三郎兵衛の妻女となり3年が経過していたが、
 一人苦悩する日々、誰かに狙わていると、橘屋に駆け込んできた。
 何故?、お登勢、十四郎、藤七が、その真相を探索していくと、意外な事実が・・、

 赤子の泣き声から、愛しい我が子市之丞の記憶が蘇り、次第に過去の記憶も取り戻す美乃、
 しかし、・・・・、運命のいたずらが・・、
   お登勢は、一人屋根船の中から、寂々とした雪の景色を眺めていた。
   見渡す限り雪の野で、ひとっこ一人いない。
   (中略)
   「わたくし、いつか・・・」
   いつか、あなたのお子を・・・、お登勢は言いかけて、言葉を呑んだ。切なくて涙が潤んでくる。
   「うむ、いつかな・・・」
   十四郎は言った。
   (中略)
   突然岸辺の雑木林から二羽の白い鳥が飛び立った。

 


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