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平岩弓枝著「はやぶさ新八御用帳(十)幽霊屋敷の女」

2023年05月25日 17時55分48秒 | 読書記

図書館から借りていた、平岩弓枝著  「はやぶさ新八御用帳(十)幽霊屋敷の女」(講談社)を読み終えた。本書は、南町奉行所、内与力隼新八郎が活躍する長編時代小説「はやぶさ新八捕物帳シリーズ」の第10弾目の作品で、表題の「幽霊屋敷の女」の他、「江戸の盆踊り」「郁江の危難」「大田屋の三人娘」「江戸の狼」「小町踊り」の連作短編6篇が収録されている。一話完結、小気味良い筋立ての短編のせいもあり、読みやすく、一気に読破出来る書だと思う。


読んでも読んでも、そのそばから忘れてしまう老脳。
読んだことの有る本を、うっかりまた借りてくるような失態を繰り返さないためにも、
その都度、備忘録として、ブログ・カテゴリー 「読書記」に 書き留め置くことにしている。


▢主な登場人物
隼新八郎(南町奉行所内与力、根岸肥前守の懐刀、新八)、郁江(新八郎の妻女)
根岸肥前守鎮衛(やすもり)(南町奉行、新八郎の上司)、
貞春院(根岸肥前守の叔母、向島村隠居所暮らし)
宮下覚右衛門(南町奉行所用心)、高木良右衛門(南町奉行所用人)、
お鯉(南町奉行所奥仕え女中、新八郎の心の恋人)
神谷鹿之助(勘定方、郁江の兄、新八郎の義兄、幼馴染)、
落合清四郎(中川御舟御番衆、旗本)
大久保源太(定廻り同心)、大竹金吾(用部屋手付同心)、
勘兵衛(元岡っ引き、鬼勘)、小かん(勘兵衛の娘、お初)、
藤助(駒込の岡っ引き)、仙三(本町の岡っ引き)、熊吉(下っ引き)、

▢あらすじ
「江戸の盆踊り」
珍しく、お忍びで芝大門の盆踊りを見物にでかけた根岸肥前守に、新八郎とお鯉がお伴したが、突然、老女が踊りの輪の中に飛び出し、「長次郎」と呼び、男が逃げ出し、混乱状態となって退避。老女の名はお松、山越屋徳松おなみ、山越屋番頭与兵衛、田丸屋手代長次郎仁助、長次郎が江戸に出てきた経緯は?、「誰か・・・倅が殺される・・・」、「おなみ・・・」、一人の男が声を上げながら、与兵衛の家に走り込んだ。
事件の結末を話し終えたような新八郎の様子に、お鯉が訊ねた。「長次郎さん母子は、どうなりましたのですか」
「殿のおかげで・・・」、「新発田藩の御用人様、ものわかりの良い御方だったのですね」「長岡藩は、山越屋の倅のせいでちと損をしたようでございますね」、新八郎が首をすくめ、お鯉が袂を口にあてた。

「郁江の危難」
新八郎の妻郁江は、祖母に溺愛されて育ち、実家神谷家の根岸の別宅で保養していた祖母を頻繁に訪ねていたが、この夏にその祖母が亡くなった。亡くなった後も、法要などのためにたびたび根岸には寝泊まりしていたが、そこで、旗本光川家から越山家に嫁いでいる昔馴染みの幸代と出会う。気安く、幸代を別宅に宿泊させたことから、事件が発生する。神谷家の秘蔵品美術品骨董品が紛失しているのを、しっかり者の実家神谷家の兄嫁(鹿之助の妻女)雪江が気付き、鹿之助が新八郎に相談。郁江も気付くが・・・。「新助」という声が聞こえた。幸代の声に違いない。「妹の奴、なにも知らずに白河夜舟か。情けないな」、鹿之助が笑いながら・・・、そこで仮死状態の郁江を発見。母親からも兄からも厳しく叱責された郁江。新八郎が質屋から探し出してきたという祖母の遺愛の観音像、「これは、違います」とは言えず、夫の誇らしそうな笑顔と安心しきった表情をこの上もなく有難く思うのだった。

「大田屋の三人娘」
御用部屋手付同心の大竹金吾に縁談があるという話を聞いた新八郎、どうも、相手は蔵前の札差大田屋の訳有りの3人姉妹の一人お鈴であることを知る。本妻の娘お由利、柳橋の芸者の子(妾腹の子)お鈴、女中に産ませた子お市、3人共18歳だという。姉妹は犬猿の仲?、お由利が水死体で発見され・・、下手人は?、大竹金吾が縁談を断ったお鈴?・・・、平仄が合わない。給仕をしていたお鯉がそっと言った。「手代の伊三郎さん、本当にお鈴さんが好きだったのでしょうか」、「そのあたりを仕掛けてみよ」、根岸肥前守の言葉に新八郎は、深く頭を下げた。

「幽霊屋敷の女」
江戸に大雪が降った翌日、雪かきに忙殺だった北町御番所に、毒入りの見舞酒が届けられ、それを飲んだ同心1名、小者1名が死亡する事件が起こった。さらに、若年寄水野出羽守忠成の屋敷の門前に、医師滝川元信の死体が入った雪達磨が置かれており・・・。誰が?、なんのために?。一方、向島村の根岸肥前守の叔母の隠居所へ雪見舞いに行った新八郎は、家名断絶の元旗本繁山千右衛門の奥方(後妻)和江を引き合わされる。千之助、先妻の子繁山千太郎、秀代、中野清茂とは?、元繁山家の屋敷に幽霊の噂?、事件との関連性は?、岡っ引き仙三藤助松之助が活躍。北町奉行所用人佐伯真兵衛佐伯文治郎衣江清水要人、「奴らは・・向島へ・・和江どのが・・あぶ・・ない・・、」、幽鬼のような声が、そこで切れた。新八郎、大久保源太は、地を蹴って向島へ。8人の敵と闘い、和江を守ったのは、大竹金吾、松之助栄信(千太郎)、佐伯文治郎、小太刀を抜いた女衣江、吉之助、新八郎、大久保源太だった。

「江戸の狼」
駿河台あたりで狼が出たという噂が広がり出し、大久保源吾、岡っ引き藤助が、真相探索を開始、深川、渋谷からも、狼出没情報が有り、新八郎も加わる。舞台は、内藤新宿、高遠藩内藤大和守頼似の下屋敷へ。抜刀した6人の侍に追われる女二人を助けた新八郎と源吾。神成利助孫七おみねおせつ疾風(はやて)、旗本石川又四郎松原勘二郎、・・・、真相が明らかになった。一つ間違えば、内藤家の恥辱となるところだったが・・・。

「小町踊り」
根岸肥前守には、母代わりに慕い、大切にしている叔母がおり、向島村で隠居所で暮らしをしているが、転倒して怪我をしたため、その介助にお鯉が差し向けられる。ちょうどその頃、向島村の隠居所や寮を狙う空き巣が頻発していて、新八郎がお鯉を送り届けて帰った夜には、長崎奉行今井主膳正信孝の父親勘翁が、奥方、奉公人3人と共に、殺される事件が発生。肥前守は、「速やかに賊を捕らえよ」と、新八郎に下知する。大竹金吾、大久保源太、岡っ引き仙三等、総動員で探索開始するが、下手人の手掛かり無し。出入りの植木職人勝五郎?、その娘おかつ?、その甥喜助?、今井家用人下川吉兵衛?・・・・。勝五郎が殺害された。直八権太郎吉次・・・とは?。「津軽様だと・・・」、真相が判明。食うや食わず津軽の暮らしに比べ、富裕な隠居所の暮らしは夢のように見えたに違いない・・・。
新八郎、大竹金吾、大久保源太、3人から、事件の結末の報告を受けた肥前守、そこに、5日振りにお鯉が戻ってきて、とたんに上機嫌に変わる。
「お鯉のいれるお茶は、実に旨い」・・。新八郎は、そっとお辞儀をして、居間を出て行った。
肥前守、新八郎、お鯉、お互い心通じる象徴的な場面で、「はやぶさ新八御用帳」シリーズが終わっている。

(おわり)

引き続き、「はやぶさ新八御用旅」シリーズが有るが、さて、どんな作品なのだろうか。


コメント (3)    この記事についてブログを書く
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3 コメント

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楽しみに (アナザン・スター)
2023-05-25 19:37:25
今晩は、是非お読みになって。
東海道に、中山道へと移りますが、従来の登場人物も居て、楽しいですよ。

全巻・文庫で収録。
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アナザン・スターさん、こんばんは、 (takezii)
2023-05-25 19:59:32
そうですか。
それでは、(1)から順に、借りて来ようと思います。
コメントいただき有難うございます。
返信する
本日も宜しくお願いします! (ひろし曾爺1840)
2023-05-26 08:30:01
👴>たけじいさん・お早う御座います。
💻お越し頂きコメントや応援👍ポチを有難う御座いました・感謝&✌で~す!
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