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平岩弓枝著 御宿かわせみ18 「秘曲」

2020年06月22日 11時17分37秒 | 読書記

先日 2月中旬に利用して以来、4ケ月振りに図書館に出向き、借りてきた 平岩弓枝著 「御宿かわせみシリーズ」第18弾目の作品 「秘曲」(文春文庫)を 読み終えた。全34巻に及ぶ「御宿かわせみシリーズ」、ようやく 中間点を通過したが 完読までの道のりはまだまだ遠い。ただ 超長編時代小説でありながら、ほぼ一話完結の連作短編構成のため、記憶力減退爺さんでも 意外と読み進め易い作品ではないかと思っている。読むそばから忘れていく爺さん、読んだことの有る本を うっかりまた借りてくる失態を繰り返さないためにも ブログに書き留めおくことにしている。

本書には 表題の「秘曲」の他、「念仏踊りの殺人」、「松風の唄」、「おたぬきさん」、「江戸の馬市」、「冬の鴉」、「目籠ことはじめ」、「菜の花月夜」の連作短編、全8篇が収録されている。

平岩弓枝著 御宿かわせみ18 「秘曲」

「念仏踊りの殺人」
大川端の小さな旅籠「かわせみ」の女中おたまは、木更津の在、清川村の実家へ、父親の新盆で里帰りしたが、お盆の行事念仏踊り開催中に殺された。東吾は るいの気持ちを察し、早速一緒に舟で木更津へ向かう。名主吉右衛門、その倅吉太郎、手代新助、小作人吾作、おたまの実家の母親お辰、妹お梅・・・、おたま殺害の下手人は?、真相を探り、謎解きをする東吾、決め手は?、「いい子だったですよ。本当に・・」、るいは口惜しく唇を噛む。

「松風の唄」
深川越中島に鉄砲の技術習得をする銃隊調練所が設立され、東吾も通い始めていたが ひそかに注目し敬意を払う人物が一人いた。御家人の川上武八であるが、実は 娘糸路の恨みを晴らすことにのみ生きてきた人物であることに気が付き出す。
親友麻生宗太郎七重の子供花世は 可愛いい盛り、祖父源右衛門のことを「じじたま」、父親宗太郎のことを「そうたま」、母親七重のことを「たあさま」、東吾ことを「とうたま」、るいのことを「ばばたま」と呼ぶ。
七重が 「小母さん」と呼ばせようとしたが 「ばばたま」になってしまい、「冗談じゃねいな、これじゃ 花世の父親は俺で るいはばあさんみていじゃないか」、東吾は 口先ではむくれてみせても、内心満更でもない風である。
そんな麻生家の花世を見て涙をこぼしていた川上武八、東吾と源三郎は 芝神宮祭り、だらだら祭りへ急ぐ。川上武八、山村甚兵衛、常太郎の顛末は?

「おたぬきさん」
「おたぬきさん」出開帳で混雑する柳森稲荷社の前を通りかかった東吾は長助と出会う。そこで、米問屋相模屋の一行、五人連れの一人お勝が血を吐いて死に、大騒ぎになる。死因は 病気?、殺人?、石見銀山のねずみ取り?、複雑な相模屋の内情、真相究明するもお手上げ。実は・・。男達がいっせいにため息をつく。東吾「どうもこの件に関しては女にふり廻されっぱなしだったな」、源三郎「全く女には困ります。お上によけいなお手数をかけるのですから・・・」

「江戸の馬市」
久し振りに狸穴の方月館の松浦方斎を訪れた東吾、翌日、十番馬場の馬市へ。「飯館村の草野久兵衛」と呼び出された相馬の馬を引いていたのは愛くるしい娘、突然酔っぱらいに抱きつかれ馬が暴れる騒ぎとなり 東吾が救った。2日後 その愛くるしい娘きくと義兄孫太郎が 「かわせみ」を尋ねてきた。奉公人の嘉助、お吉は いつものようにからかい半分、るいにヤキモチを焼かせようとしむける。実は きくの姉で孫太郎の妻、およねを探しているという。事故?、殺し、源三郎、東吾が突き止めていくが思いも寄らない展開に・・・。およねが家出した本当の理由は?、東吾「これからは 馬市のお供だけは断るよ。女房に逃げられちゃかなわねぇ」

「冬の鴉」
師走、一人の若者石原勘三郎が「かわせみ」に「お吉」を訪ねてきた。乳母の名がお吉で 「かわせみ」の女中頭お吉は人違い。実は 鴉の鳴き声に怯える病人?、その訳は?、お吉がまだ生きていると思っている心の病気だと説明する麻生宗太郎の話に、お吉が鼻をすすり手拭いを目に当て、るいも下を向いている。

「目籠ことはじめ」
東吾は 狸穴の方月館の松浦方斎の供をして竹細工職人清太郎の家を訪ねる。清太郎は 実は日本橋の竹細工老舗井筒屋の倅で、女房のおみやは 職人藤吉の娘であったことが 最後の最後で 明白になる物語。3つ年上、不器量なおみや「井筒屋の内儀には不似合い」、泣ける話だ。東吾「女ってのは思いつめるとおっかねぇな」、るい「女は好きな人のためなら 自分を捨てることが出来ますもの」、「冗談じゃねぇ。それじゃ男の立つ瀬がないだろう」、お吉が廊下で小さくくしゃみをした。

「秘曲」(表題の作品)
本所の麻生七重の父親源右衛門は 能、謡が趣味、鷺流宗家の演能で素謡をすることになり、るいや東吾の兄嫁神林早苗も招待された。源右衛門は 親族から出来を褒められご満悦だったが、宗家鷺広信が 一子相伝の「秘曲」を伝授していないことが明らかになる。「秘曲」が伝授されたのは 父親晴信の妾綾路とその隠し子高信。「かわせみ」に、はるばる京都から到着したのは、実は若い娘だった鷺高信、若い武士雪之助、鷺広信に「秘曲」を伝授する舞台は 目黒村の寂しい金毘羅大権現境内の舞楽殿と決まったが・・・、広信と広信の母親(晴信の正妻)は・・・、
麻生七重の娘時代からの仲好したった琴江、江戸生まれ、江戸育ちだが、再婚し、大村彦右衛門の後添えになっており、国許柳川に出立するという。その子供麻太郎が 東吾にそっくり?、東吾は3年前の宗太郎七重の祝言の夜、雪の中の帰り道のことを思い出し、血の気の無くなった顔で麻生家にたどりついたが、七重は屈託なく「琴絵様なら、3日前に江戸をお発ちになりましたのよ・・・・」、筑前柳川はあまりにも遠い。

「菜の花月夜」
子供が好きな東吾は 麻生宗太郎七重夫婦の子供花世、畝源三郎お千絵夫婦の子供源太郎、おとせの子供正吉等には 父親のようになつかれている。侍の家で子供が無いことは 重大事。なかなか子供が出来ず、寂しい思いをしているるいに 思いも寄らず 「かわせみ」に赤ん坊置き去り事件が発生し、てんやわんわやになるが 経験の無いるいが懸命に世話をする。
長助、東吾の探索で 母親が判明、15~16歳の若い母親おかよ、名主の倅岡村庄太郎が、赤ん坊を連れて「かわせみ」から出てゆき、赤ん坊の泣き声がしなくなると、るいは気が抜けてしまう。東吾は そんなるいを誘い出し、荒川の土手から黄色で埋まった菜の花の風景を見せてやる。ふっと目を抑えるるいに東吾は 「よせやい。菜の花ぐらいで礼をいうなよ」。心優しい東吾と思い悩む年上の女房るいの物語は まだ当分続くのだろうか。

(つづく)

 


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