古民家ギャラリーうした・ガレッジ古本カフェ便り

古民家ギャラリーうしたと隣のガレッジ古本カフェで催している作品展、日々の発見!、書評、詩などを紹介していきます。

ポポイ     倉橋由美子

2023-02-02 20:05:38 | 小説の紹介

福武書店     1987年

 

内容は知らず、倉橋さんというだけで買い求めたが、

 

これがよかった。脳死をめぐる問題について、テー

 

マにした小説で、舞という女性が首だけの美少年を

 

ポポイと名付け、あずかることになる。旧仮名遣い

 

で書かれていて、それがハイテク用語と相まって、

 

独特の世界観を形作ってゆくことになる。首だけの

 

美少年にエロというコンテンツを与えるとどうなる

 

か、とか、けっこうおもしろいアプローチがされて

 

いる。大きな字で読みやすい文章で、時々、二重否

 

定とかがあるが、それでも、おもしろかった。

 

1987年にこういう試みがされていることは、特筆に

 

値するだろう。今の時代だったら、当時とはまた違った

 

読み方もできるだろうし、読み解き方もできうるテクスト

 

だ。美少年テロリストの首というところがより深い影を

 

作品に落しているようだ。

 

    (読了日 2023年1・12(木)0:14)

 

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