福武書店 1987年
内容は知らず、倉橋さんというだけで買い求めたが、
これがよかった。脳死をめぐる問題について、テー
マにした小説で、舞という女性が首だけの美少年を
ポポイと名付け、あずかることになる。旧仮名遣い
で書かれていて、それがハイテク用語と相まって、
独特の世界観を形作ってゆくことになる。首だけの
美少年にエロというコンテンツを与えるとどうなる
か、とか、けっこうおもしろいアプローチがされて
いる。大きな字で読みやすい文章で、時々、二重否
定とかがあるが、それでも、おもしろかった。
1987年にこういう試みがされていることは、特筆に
値するだろう。今の時代だったら、当時とはまた違った
読み方もできるだろうし、読み解き方もできうるテクスト
だ。美少年テロリストの首というところがより深い影を
作品に落しているようだ。
(読了日 2023年1・12(木)0:14)