近頃は、公募に応募する原稿をやっていて
手いっぱいでうpができませんでした。
なかなか余力がなくて。けど、もう目星も
つきましたので、今回は、ひかりごけ、ですよ。
新潮文庫 昭和29年
昭和に燦然と輝く名作をひとつ。校長とみた金緑色の
ひかりごけ。第二章では、舞台劇の台本の体をなし、
漂流し、ハンニバル(人食い)をしたことが、脳内で
演じられることになる。
この人食いだが、日本文学にはひとつの人食いの文学
というジャンルがあるらしく、開高健氏、や、大岡昇平氏
、最近では村田沙耶香女史がこのジャンルの奥地へと
踏みこんでいるようだ。
この人食いの是非は明かであると、ぼくなんかは短絡的
に考えてしまうが、武田氏によると5つの罪の重さに分け
られるらしい。それは、ともかくとして、我々は文明人
であり、究極的立場に立ったことがないので、ほんとの
ことは理解しづらいのかもしれない。
死ぬほど腹が減ったら、天皇の名のもとで、もしかしたら
食っちまうかもしれない、とも思うのだ。それは、とても
恐ろしい妄想でもあるが、そっと夜の帳の隙間から入り込み
ぼくの脳を揺り動かすのだものだ。そして、人の頭の
うしろに金緑色の輪っかができているを恨めし気に見据え
るだろう。
(読了日 2024年1・20土 8:40)
(鶴岡 卓哉)
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