古民家ギャラリーうした・ガレッジ古本カフェ便り

古民家ギャラリーうしたと隣のガレッジ古本カフェで催している作品展、日々の発見!、書評、詩などを紹介していきます。

ひかりごけ  武田泰淳

2024-03-20 07:12:52 | 小説の紹介
近頃は、公募に応募する原稿をやっていて

手いっぱいでうpができませんでした。

なかなか余力がなくて。けど、もう目星も

つきましたので、今回は、ひかりごけ、ですよ。

新潮文庫 昭和29年

昭和に燦然と輝く名作をひとつ。校長とみた金緑色の

ひかりごけ。第二章では、舞台劇の台本の体をなし、

漂流し、ハンニバル(人食い)をしたことが、脳内で

演じられることになる。

この人食いだが、日本文学にはひとつの人食いの文学

というジャンルがあるらしく、開高健氏、や、大岡昇平氏

、最近では村田沙耶香女史がこのジャンルの奥地へと

踏みこんでいるようだ。

この人食いの是非は明かであると、ぼくなんかは短絡的

に考えてしまうが、武田氏によると5つの罪の重さに分け

られるらしい。それは、ともかくとして、我々は文明人

であり、究極的立場に立ったことがないので、ほんとの

ことは理解しづらいのかもしれない。

死ぬほど腹が減ったら、天皇の名のもとで、もしかしたら

食っちまうかもしれない、とも思うのだ。それは、とても

恐ろしい妄想でもあるが、そっと夜の帳の隙間から入り込み

ぼくの脳を揺り動かすのだものだ。そして、人の頭の

うしろに金緑色の輪っかができているを恨めし気に見据え

るだろう。

(読了日 2024年1・20土 8:40)
             (鶴岡 卓哉)




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