古民家ギャラリーうした・ガレッジ古本カフェ便り

古民家ギャラリーうしたと隣のガレッジ古本カフェで催している作品展、日々の発見!、書評、詩などを紹介していきます。

海肌の匂い    武田泰淳

2024-03-09 09:11:41 | 小説の紹介
新潮文庫  昭和24年

ダイボの船には女子供は乗っちゃいけねえことに

なっていた。市子は不漁続きのダイボ船に秋山の

じいさんと話したことからひょんなことにそのダ

イボ船に乗ることになってしまった。

気狂いの娘がいたり、その漁師町がイキイキと

描かれてゆく。それで、ダイボ船に乗った市には

冷徹なる視線が注がれる。

ああ、魚が獲れて欲しいなあ、と思いながら読んで

いると、マグロの気まぐれでついに大漁。ぼくは

感涙したね、ほんと。そのたくさん獲れて跳ね回る

様のその描写がまたいいんだわ。手書きでしか書き

得ない風合いがあって、丁寧に書きこまれた短篇の

日本映画を見ているようだった、高倉健がでてくる

ようなね。

(読了日 2024年1・17(水)10:45)
                (鶴岡 卓哉)

          































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