新潮文庫 昭和24年
ダイボの船には女子供は乗っちゃいけねえことに
なっていた。市子は不漁続きのダイボ船に秋山の
じいさんと話したことからひょんなことにそのダ
イボ船に乗ることになってしまった。
気狂いの娘がいたり、その漁師町がイキイキと
描かれてゆく。それで、ダイボ船に乗った市には
冷徹なる視線が注がれる。
ああ、魚が獲れて欲しいなあ、と思いながら読んで
いると、マグロの気まぐれでついに大漁。ぼくは
感涙したね、ほんと。そのたくさん獲れて跳ね回る
様のその描写がまたいいんだわ。手書きでしか書き
得ない風合いがあって、丁寧に書きこまれた短篇の
日本映画を見ているようだった、高倉健がでてくる
ようなね。
(読了日 2024年1・17(水)10:45)
(鶴岡 卓哉)
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