古民家ギャラリーうした・ガレッジ古本カフェ便り

古民家ギャラリーうしたと隣のガレッジ古本カフェで催している作品展、日々の発見!、書評、詩などを紹介していきます。

あるく魚とわらう風      椎名誠

2022-02-12 03:02:34 | 本の紹介

集英社文庫       1997年

 

あるく魚とはシーナ氏のことだと本人はいう。1995年から96年

 

のシーナ氏のあわただしい日々を描いた日記。この人の不思議なところ

 

は、その体力もさることながら、あれだけ好きにビールだのを喰ったり

 

飲んだりしているのに腹が出っ張らないところだと思う。フツーの男

 

なら速攻ビールっ腹ででっぷりと腹が布袋様のようにでてしまう、と

 

思うのだが。まあ、これだけ動いているのだから、消費しているのでし

 

ょうねえ。スーパー超人シーナといっていいと思う。フツーの人がこんな

 

生活を一か月もしたら再起不能になるんではないか。それを十数年続け

 

ていたというんだから驚きだ。

 

ぼくは絶対にこんな生活はいくらもらってもイヤである、ということは

 

明かだ。息が詰まって、即死亡だろう。……合掌。

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

17歳のポケット      山田かまち

2022-02-11 12:16:34 | 本の紹介

集英社文庫   1996年

 

なにも知らなくて、それも女の子の詩集だと思って買った。17歳で

 

ギターで感電死、なんて天才的な死に方だ。それもBOOWYの氷室京介

 

氏や松井氏と同級だったという。バンドもいっしょに組んでいたとい

 

うから、死にさえしなかったら、BOOWYの主要メンになっていたって

 

ことだ。うー、なんてこった、ぼくの青春時代、RUN‐DMCと尾崎豊と

 

BOOWYは欠かせない存在だった。ぼくのジェイ・マスター・Jに次ぐ

 

神になっていたかもしれないのだ。

 

絵はすごくいいが、詩は、詩もいいのだが、きっと書き続けて、完成された

 

形の3割、4割といったところだろうか。文章も若書きだ。

 

しかし、詩は何度も読んでいると大器な感じが随所に見られ、〈17歳のポ

 

ケット〉とはいいタイトルを付けたもんだ、と感心する。

 

ぼくはかれの三倍生きてしまった。だからってなんだ、という感じもするので

 

17歳で死のうとそれはそれでいいのだ。けど、このままだと、ぼくは

 

彼の4倍も5倍も生きてしまいそうだ。なんだか恥ずかしい。……合掌。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

瞳さんと        山口治子

2022-02-10 22:49:45 | 本の紹介

小学館文庫

 

ご自身で書かれたわけではなく、聞き書きを、中島茂信氏

 

という人がしている。

 

鎌倉アカデミイという学校で山口瞳氏と知り合って付き合

 

いだすことが描かれる。大抵、のろけ話であり、ほぼ、のろけ

 

話だ。ごちそうさまです、と言わねばなるまい。

 

正介くんを出産し、第二子をおろしたことが描かれる。そこら

 

辺が痛かった。それが原因でパニック障害が起こってしまった

 

らしく、電車にも乗れなかったという。

 

水害で、新築した家が水没してしまったらしい。半地下にして

 

いたので、全部やられたという。その当時としては、相当モダン

 

なコンクリ打ちっぱなしのような家に住んでおられたらしい。

 

ぼくは瞳氏の作品は、「酔いどれ紀行」しか読んでいないと

 

思うのだが、デッサンも精緻で、うまい絵を描かれるな、という

 

印象だ。小説は読んだことはない。

 

「あとがき」をライターの中島氏が書いておられるが、「閉経後

 

もしていた」なんて「露悪趣味」もいいところで下世話すぎる。

 

書かない方が良かった、行きすぎもダメだ。……合掌。

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

父の縁側、私の書斎      檀ふみ

2022-02-08 13:54:58 | 本の紹介

ふみ女史の父上檀一雄氏との思い出を綴りつつ、家、

 

住宅について語った本。

 

檀一雄氏といえば、あの太宰治とかの地でカニを買い、

 

バリバリと歩きながら食ったツレ感がぼくのなかでは大

 

きいのである。あと、檀流クッキングのひとね。

 

ふみ女史の家は雨漏りするらしいが、ぼくも今まで

 

四か所、か所を変えて暮らしてきたが、どこも雨漏りは

 

しなかった。だから、雨漏りするなんてひどいところに

 

住んでいるなあ、と思うが、世間ではフツー雨漏りしない

 

でしょ、やっぱり。

 

檀氏は原稿用紙に「奇泡亭」と印刷されていたという。それ

 

は逗留していたスペインの、「ドン・キホーテ」ならぬ、「

 

ダン・キホーテ―」なのだと語る。檀氏はよく夜中に料理を

 

していたらしい。ふみ女史の役目は三等兵なので、すり鉢の

 

ささえ役らしかった。それがぜーんぜんおもしろくなかった、

 

と語る。一度だけ竹馬を作ってくれたことがあって、それを

 

日がな一日やっていて、その写真もあるが、竹馬はずっと直ら

 

ず放っておかれたという。

 

「火宅の人」檀氏、おとこなら、一度は憧れる生き方をした人

 

である。……合掌。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ふふふふ      井上ひさし

2022-02-07 00:35:11 | 本の紹介

講談社文庫    2009年

 

むずかしい政治などの話をわかりやすくおもしろく描いたエッセイ。

 

ぼくは小泉氏の郵政民営化には反対だったのだが、民営化の実態は

 

簡易保険をアメリカに売りわたすためだったのか? と合点がいった。

 

日本人は威勢のいい言葉を信用しがちだ、景気のいいように感じられ

 

る小泉氏はきっと稀代のペテン師だったのだろう。

 

ジダン氏についても言及している。あの頭突きは事件に関して、ダメな

 

選手だった、と両断する。

 

「母への二通の手紙」では、ドイツの病院の赤ちゃんを預けに来る

 

お母さんへの涙なくし読めない手紙を二通紹介している。日本

 

と言う国はなんて心がないのだろうか、と情けなくなる。実際、この

 

手紙を読んでその本当の意味での優しさに号泣してしまった。

 

その他にもたくさんの考えさせられる事柄が載っていて、本当の勉強

 

とは、こういう本を読んで考えて養うものなのでは、と思った。

 

……合掌。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

自由訳  イマジン  ジョン・レノン+オノ・ヨーコ

2022-02-06 05:20:24 | 本の紹介

朝日文庫     2009年

 

ぼくのハハに自由訳シリーズの般若心経を買ってきて

 

読んでみなさい、と薦められた。その頃、ぼくは生き

 

るのにとても不自由していたので、生きるのに前向き

 

になれた。

 

先日、古本屋で、このイマジンが偶然あったので、速攻

 

買うことにした。1Hくらいで読めてしまうのだ。でも、

 

その密度は濃い。「食べきれないほどたくさんの/食糧

 

をもった人々のすぐそばで/パンもなく水もなく/飢えて

 

死んでゆく子供たち/そういうことって/ばかばかしい

 

ことだと思わないかい?」と言う一節にぐっときた。

 

飢えた人がいるのにTVでは大食い王が無意味に大量に苦

 

しそうに食べていたりする。

 

そういうのっておかしくないかい? 世界では、おかしな

 

ことがいくつも起こっている。戦争にしろ、紛争にしろ、

 

どう考えてもおかしいことが。結局、おなじことなのだ。

 

根本では、大食いも紛争も、同じところにある。

 

ぼくらはよりよい生活を求める、でも、よりよい生活っていっ

 

たいなんだろうね?……合掌。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

リンボウ先生 遠めがね     林望

2022-02-05 07:08:38 | 本の紹介

文春文庫      1998年

 

「イギリスはおいしい2」は拝読した。たしかにおもしろかった。イギリス

 

を見る目が変わった感のある良書だった。

 

酒は嫌いだそうで、酒にまつわる苦いエピソードを披歴している。いわゆる

 

このひとは意識高い系のひとだろうと思われる。ぼくも酒はほとんど飲まない。

 

盛夏のビールは美味しいと呷るが、それだけだ。

 

一番イキイキしていて、おもしろかったのは、風邪予防の話だ。神経質が過ぎ

 

るだろう、と苦笑を禁じえなかったが、エレベーターで息をしないというとこ

 

ろで、( ´艸`)と笑ってしまった。結果、これがベストのエッセイだった。

 

極めるで、寿司徳という(仮名)の寿司屋を紹介しているが、ここで先生やっ

 

ちまっている。筆舌に尽くしがたい、と書いてしまっている。味覚の表現でやっ

 

てしまうケアレスミスだ。表現は無限大、筆舌に尽くしがたい、はないんじゃ

 

ないの、ねえ、先生? ……合掌。

 

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

地球の裏のマヨネーズ    椎名誠

2022-02-04 02:34:54 | 本の紹介

文藝春秋      2003年

 

挿絵の沢野ひとし氏が冴え渡っている。この人の奇妙さ

 

っていうのは、ぐっと関心を引いたり、心を掴んだりする

 

なにかがあるように思う。それは線のくねくねであったり、

 

吹き出しのセリフの滑稽さにあったりする。

 

この「地球の裏の~」だが、尿酸値ばなしで、偉い人との

 

会合で食わないわけにはいかないシーナ氏の苦悩が描かれたり、

 

シメゴロシの木という奥アマゾンにある寄生樹で、絞め殺して

 

しまう木を紹介したり、考える雑誌について、考察したり

 

表題作の話では、チリのプンタアレナス「アヒ」というトウガラシ

 

をすりつぶしたのと「マヨネーズ」を合わせた「アヒマヨ」が流行

 

っていると紹介している。

 

本当にシーナ氏は世界中を渡り歩いているのだなあ、といつも通りに

 

感心しているおれっちだった。シーナ氏が神がかり的におもしろい

 

2003年の作品である。……合掌。

 

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ハリガミ考現学(全)     南伸坊

2022-02-01 13:39:56 | 本の紹介

ちくま文庫    1986年

 

初めて出会った時、ぶ厚いな、と思った。伸坊マニアとしては

 

買わずにはいられない。買って帰り、測ると、2.7センチあ

 

った。

 

ハリガミは立小便禁止にはじまって、立小便禁止に終わる、と

 

いわれるらしい。なるほど。

 

「のぞき、空巣に御用心」のあとの、「熱風にいやな臭いの

 

犬のふん」とくりゃ、これは、犬のふんをするのぞきに注意か?

 

とにかく、深いのである。よく読み込むと笑えてくるのだ。

 

「駐輪禁止! 自転車、オートバイ放置した場合撤去・処理

 

する」とあり、横に、「おねがい! なにかと危険ですからこ

 

こでポール投げなどをしないでください!!」とある。

 

ポール牧を投げるのか? やだな。ポールだって、ぷふっ。

 

”カナシイモン”のハリガミについて考察する432P。…

 

...合掌。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする