古民家ギャラリーうした・ガレッジ古本カフェ便り

古民家ギャラリーうしたと隣のガレッジ古本カフェで催している作品展、日々の発見!、書評、詩などを紹介していきます。

んまんま あの頃、あの味、あのひとびと 犬丸りん

2023-10-07 22:31:07 | 本の紹介
読了したのが8・16(水)なので、こういうのも

読んだっけなあ、と言う感じである。

文学賞が〆切間近で、こんなもの(といっていいのか……)

を書いていていいのか、と思うが、書いちゃうんですねえ。

角川文庫 1996年

小学生の頃からの食にまつわる自身のエピソードを

おもしろいおかしく語っている。ひとつひとつ拾っていきたく

なるエピソードだが、丸ごとスイカと言うエピソードが割と

スキだった。あまり気に入らないお見合いの相手が若子さん

が風邪を引いた時、丸ごとのスイカを持ってきたというのだ。

若子さんは農家の娘で幼いときは庭にスイカがゴロゴロして

いたという。とにかく、この丸ごとスイカを持ってきてくれた

のが縁で結婚することになったという。心温まる話だし、一見、

フツーの話しに思えるが、こういう、心温まるエピソードを

書ける人ってなかなかいまの時代、いないと思う。どのエピソ

ードもどこかほっこりとしてきて、ちょっと笑っちゃう。

んまんま、と言うふざけた軽めのタイトルだけど、人間を

見つめた良書だと思う。

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意味がなければスイングはない  村上春樹

2023-10-04 23:51:06 | 本の紹介
文藝春秋  2005年

長らくぼくは春樹氏を「何か」=SOMETHING ELSE

のある作家だと認識してきたし、この本にも、その「

何か」は確かに存在する。2010年代になって、春樹

氏はそれらを失ってしまった、とぼくは思っているが、

それは、今回はまあ、いい。

ぼくらには、春樹氏ほどではないにしろ、少々の優れた

音楽が必要だ。日々、おいしいもんを食べて、なんとか

やっていくにしても、おいしいものをおいしいと感じる

には感性が必要になってくるし、健康もいる。そのため

には、スタン・ゲッツのいかしたリフや、ブルース・

スプリングスティーンの嗄れ声、スガシカオのとんでなく

ファンキーなやつが必要になって来るってわけだ。意味が

なければスイングはない、そうだ、音楽にも文学にも絶対

的に意味があるのだ。ぼくらはそれらを息をするみたいに

吸っていくのだ。

                   (鶴岡卓哉)
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センセイの書斎   内澤旬子

2023-10-03 14:06:38 | 本の紹介
パソコンが言うこと聞くうちにささっとレビュー、

いっちゃいましょうかね。

今日は、「センセイの書斎」内澤旬子女史ですよ。

河出文庫   2006年

いわゆるセンセイと呼ばれるような方の本棚はいかように

なっているのか、大いに興味のあるところだ。

リンボウ氏から始まるのだが、こういう人たちの蔵書は桁

が違う。センセイという人たちはヘンタイか、と思う程の

数だ。それでも、捨てていたり、どこか違うところに置いて

あったりするのだから、すごくなんて言うか厄介な人たちで

あることは明かだ。本のヲタクだと思うのだが、ぼくが

一生見ないだろうな、と思う本がたくさんある。

でも、こういう人たちも全部読んでいるのか、といったら、

きっとそんなことはないんだと思う。一番すごかったのは、

評論家の佐高信氏の書斎だ。紙で溢れ返っていて、なんか

すごく楽しそうだった。

                   (鶴岡 卓哉)




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