多額の借金を背負って、切腹?
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江戸時代。
越後、丹生山藩の役人の息子、間垣小四郎(神木隆之介)は、
ある日突然、自分が丹生山藩主の後継ぎだと知らされます。
有無を言わさず、江戸の藩屋敷に連れてこられて、
藩主としての務めを果たすようにと、言われるのです。
実の父、前藩主の一狐斎(佐藤浩市)は、
小四郎に国を任せて隠居してしまいました。
いきなり一貧乏侍の小せがれから、一気に藩主となったことに
戸惑いを隠せない小四郎。
(ここからは松平小四郎と名乗ります。)
そして、丹生山藩が25万両(約100億円)もの借金を抱えていることを知り、
呆然となってしまう・・・。
さっそくそのことを伺いに父の元を訪ねれば、父は「大名倒産」せよという。
借金の返済日に藩の倒産を宣言して、踏み倒してしまえというのです。
しかしそれはつまり、小四郎にすべての責任を押しつけて、
切腹させようという腹づもりのようで・・・。
さあ、どーする!?というわけですね。
結局、父と息子の命がけの対決という大きなテーマではありますが、
実はそこにも裏があって、
薄ぎたない幕府老中と商人の癒着が隠されているのでありました。
さて、小四郎の育ての父は、藩の特産物である塩引き鮭を管理するお役人でありまして、
自らも塩引き鮭を作るのが得意。
藩の財政を立て直すには、コレが役立つのでは・・・?
という私の読み通りにストーリーが進むのでした。
ま、これくらいの伏線は読めます。
武士はそもそも、このようにソロバン勘定のことが苦手ですよね。
だから本当に、経済的に窮したことも多かったことでしょう。
小四郎は、藩主になっても人々にフランクに接するので、こぎみよいです。
いつの間にか屋敷内に住み着いているように見える幼馴染みのさよちゃん(杉咲花)も、
ま、現実的ではないけれど可愛いから許す!
ちなみに、小四郎の兄にあたる人物は3人いて、
藩主の後を継ぐはずだった長男は落馬して死去。
次男は病弱、三男はうつけ、ということで
やむなく赤子のうちに外に預けられた小四郎が呼び戻されたということになっております。
この、うつけものに松山ケンイチさんをあてるという
かなり贅沢な配役をしておりますね。
でもこの方、明るくてユニークで、いいわあ。
差別用語でなくそのことを表わすのに「うつけ」というのは良いことばだと思います。
<Amazon prime videoにて>
「大名倒産」
2023年/日本/120分
監督:前田哲
原作:浅田次郎
脚本:丑尾健太郎、稲葉一広
出演:神木隆之介、杉咲花、松山ケンイチ、桜田通、小日向文世、小手伸也、宮崎あおい、浅野忠信、佐藤浩市
財政立て直し度★★★★☆
コミカル★★★★☆
満足度★★★.5