映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

奇跡をつむぐ夜

2024年12月06日 | 映画(か行)

お節介な善意は、自分のためでもある

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実話をもとにしています。

ケンタッキーの小さな町で暮らすシャロン(ヒラリー・スワンク)。
離婚後ひとり息子を育てていたものの、うまく愛することができず、
今はほとんど音信不通。
美容師の仕事をしながら、ままにならない人生を悔やみ、
アルコール依存症となっています。
そんな彼女が新聞のある記事に注意をひかれます。

5歳の少女が母親を亡くし、そして肝移植が必要な病と闘っている、という。

その父、エド(アラン・リッチソン)は妻を亡くし、
娘2人を育てて行かなければならず、
しかも下の娘は肝移植をしなければ残りわずかな命といわれている。
今のままでも治療費は払えず、借金が膨らむばかり・・・
という悲惨な状態にあるのでした。

シャロンは、ほとんど押し売りのように、エドの元を訪ねて援助を申し出ます。
シャロンのために募金をし、エドの債務の整理をしようとする。
エドは、人からの施しなど受けたくないと思うタイプの人で、
シャロンの申し出をことわっていたのですが、
しかし、このままではどうにもならないことも事実。
シャロンの強引さにも負けて、受け入れていきます。

さてしかし、あまりにもエド一家への助力にのめり込んでいくシャロンに、
彼女の友人が言いますね。
「その行為自体が、依存なんじゃないの?」と。
うまく息子を愛せなかったから、代わりにシャロンを愛したい、助けたいと思う。
誰かの役にたって、人から必要な人間だと思われたい・・・。
彼女の今の状態はアルコール依存と根っこは同じなのかも知れません。

でも、アルコール依存はなんの役にも立たないけれど、
この度のことは確実にエド一家への助力にはなる。
今さら止められないのです。

そんなある日、ようやく肝移植のドナーがみつかって、
至急病院のある地までいかなければならない。
しかしよりにもよってケンタッキーに吹雪が・・・。
さて、どうなる・・・?

本作の感動は、シャロンのお節介すぎる善意のことはもちろんあるのですが、
それ以上に、地域の人や様々な人に波及していく善意の輪にあるわけで・・・。
事実にもとにしていると聞けば、実際泣いてしまいます。

感動作でした。

 

<Amazon prime videoにて>

「奇跡をつむぐ夜」

2024年/アメリカ/116分

監督:ジョン・ガン

出演:ヒラリー・スワンク、アラン・リッチソン、ナンシー・トラビス、
   タマラ・ジョーンズ、エイミー・アッカー

お節介度★★★★★

満足度★★★★☆