ちょうど本で読んだばかり(文庫の出ているⅤまでですが)で、とても好きになってしまっていたので、観ました!
この、主人公巧君が、妙にいい子になっちゃってたり、変なスポ根ものになっていたらイヤだなあ・・・と思っていたのですが、いえいえ、原作のイメージのまま、というかそれ以上。
岡山の、空気、風景、町並み、そういうのが、本で読むよりよりくっきり。(当たり前ですが。)
なので、巧君像が、よりクリアにリアルに浮かび上がった気がします。
よくこんなに、ぴったんこの少年がいましたよねえ・・・。
なにしろ、下手をするとジコチュウの、聞き分けのない、いやーな奴になるところなんですよね。彼の性格。
あまりにも青く、硬質。孤独で、危ういほど・・・。
この雰囲気が、不安定な13歳という年頃とマッチし、なんともいえない魅力となっているのです。
でも、映画では、そこまでの感じではないかな・・・。
それから、巧と豪の、微妙な雰囲気は小説ではもっとずっと続くのです。
このように、映画として楽しむためには仕方ないわかり易いアレンジはあるようでした。
思いがけずナイスだったのは、沢口君。
原作では農家の息子なんだけど、ここでは、お寺の息子。
どっちもなかなかいいキャラなんだけど、映画版はまた、格別。
3枚目ではあるけれど、彼がいなかったら全然つまんない映画になっていたかもしれません。
人にはなかなか厳しい巧なのですが、彼に対してはどうも、いつものペースが保てないようです。
そして、お母さん役の天海祐希。(ひまわりさ~ん!)
ちょっと気弱な感じの岸谷五朗演じるお父さん。
これもまた、イメージを損なわないものでした。
青波君も思い切りかわいい!!
この、明るく賢く人の気持ちを汲み取るのに敏感というナイスなキャラ。
息子に欲しいです・・・。
巧君はちょっと難しすぎますがねえ。
でも、自分の気持ちを口で言ったりする事のほとんどない巧君の、弟を大切に思う気持ちがひしひしと伝わり、ちょっぴり涙もさそわれて、満足のいく作品でした。
原作中で、巧は豪を「友達なんかじゃない」といいます。
それは、「友達」なんて言葉でそれを呼ぶと、大切なものが壊れてしまう、
そんな気持ちの表れなのではないかと思いました。
一時代前の、夕日のグランドでピッチャーとキャッチャーが抱き合って涙する、というような、そんな暑苦しいものはありません。
野球がよくわからない方も、十分楽しめる作品ですので、是非どうぞ。
出来れば原作もおすすめ。読み出したら止められません。
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