かの、モンゴルの英雄、チンギス・ハーンの半生を描く。4ヶ月のモンゴルロケ、モンゴルエキストラ27000人を動員という。
CGでなく、本物の迫力はありました。確かに。
このドラマのサブテーマは親子。チンギス・ハーン自身、メルキトから略奪された母から生まれ、実のところ、尊敬する父の実の子だったのかどうか、わからない。
それ故に、部族仲間の信頼さえも失うという辛い目にもあった。
ただ、自分がモンゴルの蒼き狼の末裔であることを信じ、証明するために生きぬき戦い抜いていく。
ところが皮肉なことに、自分の妻が敵に略奪され、取り戻したときには身ごもっている。
運命の皮肉といいましょうか、自分の妻が産んだその子を、自分の息子と信じることが出来ずに、疎ましく思ってしまう。
華麗なる一族・・・ですねえ。
いまなら、DNA鑑定で一発かな?
解らないほうがいいこともありますね。
今生きている自分だけが真実と思えばいいことなのでしょうが、血のつながりというのは、やはり、自己のアイデンティティに欠かせないものなんでしょうか。
鉄平さんは結局自分なんか生まれなければよかった、と、決断してしまいましたが・・・。
私は、この物語で、一番偉大なのは、このテムジンの父なのでは?と思います。
少なくとも彼は、実の子と同様にテムジンを愛し、彼をいじけさせることはなかった。
(この映画ではそのように見えたということですが。)
さて、一方女はやっぱり悲しい存在です。
略奪され、身ごもって、子供が生まれればその子を愛してしまうし、それでまた、元に戻されても、その感情はどこへ持っていけばよいのか。
男の持ち物、道具でしかない、というのは、いつも同じようです。
この映画では唯一女を捨て、兵士となった女性がいます。
けれどそれなら、最後まで兵士で通して欲しかったと、ちょっと思ってしまいました。
さて、長々書いたけど、実はどうも、食い足りないというか、すごく感動した、というには遠いのです。
なんだか、時代劇めいた台詞回しがオーバーすぎ。
もっと、素朴に雄大なモンゴルの自然の中に暮らす感じ、出なかったのかなあ、と残念。
例えば、「武士の一分」とか、自然な台詞回しの時代劇を見た後だったからかもしれませんが、あの仰々しいセリフには違和感を感じます。
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