縦の糸は菅田将暉、横の糸は小松菜奈
* * * * * * * * * * * *
たまたまですが、公開初日に見てしまいました。
さすが、人気の菅田将暉さん出演ということで、平日にもかかわらずほぼ満席。
といっても、コロナ対策で一つおきの座席ではありますが・・・。
つまり満員でも1/2の入り。
大丈夫か、映画館
さて、本作は1998年にリリースされた中島みゆきさんのヒット曲「糸」をモチーフとした作品です。
平成元年生まれの高橋漣と園田葵。
北海道で育ち、13歳の時に出会って恋をします。
しかしまもなく葵は母親に連れられて北海道を去ってしまいます。
8年後、21歳。
友人の結婚式が東京で行われ、そこで再会した漣(菅田将暉)と葵(小松菜奈)。
昔の思いはなくなっていないものの、
どうやら葵にはすでによい相手がいるらしく、肩を落とす漣。
漣は北海道・美瑛でチーズ職人の道を歩み、
葵は恋人と共に沖縄で暮らしたものの、結局は別れて、
ネイルサロンの仕事のためにシンガポールへ渡ります。
もう交わることのない別々の道を行く二人でしたが、
さらに時が過ぎて、平成最後の年・・・。
平成元年に生まれた男女の18年間を、
リーマンショックや東日本大震災など、平成史を絡めながら綴られていくふたりの物語。
まだ13歳の2人は、葵の家庭環境の劣悪さ故に、
ほとんど駆け落ちまがいの事になるのですが、所詮まだ中学生。
漣は葵を守り通すことができません。
そんな心の傷を引きずりながらの再会は、ドギマギするものでしたが・・・。
思いと実人生は別物。
2人はそれぞれの生活の中で大切な人を見出し、共に暮らしたり結婚したり。
初恋は記憶の彼方に薄れていくのですが・・・。
けれどもまた運命は巡り巡っていく・・・。
2人の出身地が北海道上富良野と美瑛というのはあまりにもできすぎのような気がしますが、
ま、いいか。
北海道、というのは中島みゆきさんの出身地なので、そのリスペクトでしょうね。
沖縄やシンガポールという、場所の広がりもなかなかいい。
菅田将暉さんが21歳と30歳の頃を演じますが、
どう見ても、それぞれの年齢に見えてしまうというのがすごい!!
始めに登場した彼はチーズ工房の仕事もいささか投げやりで、
見ていても「もっと誇りを持って、しっかりやりなよ」と思えてしまったのですが、
それでも彼は着実に力をつけて、頼もしいチーズ職人に、そして一女の父親になっていくのです。
そういうことに全然違和感がありません。
この方は、チンピラ役も気弱な兄ちゃん役も、
どんな役でも自分のものとしてしまうのが本当にすごい。
演技もよし、歌もよし、ルックスもよし・・・
ラジオ番組でドリカムのマサさんが、生まれ変わったら菅田将暉になりたいとおっしゃっていました・・・
一方、カツ丼をわしわし食べるシーンで人を泣かせるという、
小松菜奈さんにも驚かされました。
シンガポールで事業に破れて、日本食堂で1人カツ丼を食べるのです。
ただひたすらに食べ始め、やがて本人も泣きながら食べるのですが、
その前に、私の方が泣いていましたもの。
心憎い豪華キャストと巡り行く時と人の物語。
ほんと、泣かされて、その余韻に長~く浸りました。
<ユナイテッドシネマ札幌にて>
「糸」
2020年/日本/130分
監督:瀬々敬久
原案:平野隆
脚本:林民夫
出演:菅田将暉、小松菜奈、山本美月、高杉真宙、倍賞美津子、榮倉奈々、斎藤工、成田凌
巡り会い度★★★★★
お涙度★★★★★
満足度★★★★★