映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

サイドバイサイド 隣にいる人

2023年05月06日 | 映画(さ行)

静かにやさしくそばにいて

* * * * * * * * * * * *

末山(坂口健太郎)は、田舎の町で
恋人の詩織(市川実日子)とその娘・美々と穏やかに暮らしています。

末山には不思議な力があって、彼にはそこに存在しない「誰かの思い」を見ることができるのです。
それで、時には傷ついた人々の心身を癒したりもする。

そんなある日、末山は自分の近くに謎の青年の姿が見えるようになります。
末山は彼の思いをたどり始めます。

なんとそれは、亡くなった人の幽霊ではなくて、生きている実在の人物。
末山の高校時代の後輩で、ミュージシャンとして活躍する草鹿(浅香航大)でした。
草鹿は、とある女性の元へ末山を連れて行きます・・・。

とても静謐で、不思議な作品。

始め末山の横にじっとたたずむ青年は、絶対に幽霊だと思ってのですが、
なんと生き霊でした!! 
彼にはよほど末山に伝えたいことがあったのです。
そんないきさつで、末山はモトカノ、莉子(齋藤飛鳥)の元にたどり着く。

しかし驚くべきは、詩織さんの懐の深さ。
彼女は弱り切った莉子をも自宅に招き、共に住もうというのです。

なんの気負いもなく家事や美々の面倒を見る末山。
近所の人々の困りごとにも寄り添います。

そして、末山とそのモトカノとの共同生活に、
負の感情をみせず淡々と日常を送る詩織。
誰にでも人なつっこくて、ちょっぴり鋭いところものぞかせる美々。

静かなやさしさに満ちた、独特な雰囲気のある作品。
そしてまた、ラストが意外!!

イカします。

<サツゲキにて>

「サイドバイサイド 隣にいる人」

2023年/日本/130分

監督・脚本:伊藤ちひろ

出演:坂口健太郎、齋藤飛鳥、浅香航大、磯村アメリ、市川実日子、井口理

 

静謐度★★★★☆

やさしさ★★★★☆

満足度★★★★☆