周囲の評価が彼女を追い詰める
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ドイツの有名オーケストラで、女性として初めて主席指揮者に任命された
リディア・ター(ケイト・ブランシェット)。
そのたぐいまれな能力と、プロデュース力を買われているのです。
しかし今彼女は、マーラーの交響曲5番の演奏、録音のプレッシャーと、
新曲の創作に苦しんでいます。
そんなところへ、かつて彼女が指導した若手女性指揮者の訃報が入り、
ある疑いをかけられたターは追い詰められていきます・・・。
数少ない女性指揮者というのも彼女のプレッシャーの一つ。
そんな彼女は、音楽に情熱を燃やしたり、
美しい音楽を作り出すことを楽しんだりすることよりも、
とにかく今の地位を保つこと、もっと上を目指すことが主目的になっているようです。
つまり、「回りの評価」が大事。
それだから、心のバランスを失っていく彼女には、
奇妙な音が聞こえ始めるのではないでしょうか。
周囲が自分をどう見ているか、何を言っているか・・・。
そしてそれは、SNSで悪意ある投稿があふれ始めたときに、
さらに増長していく・・・。
尊大で威圧感のある女性を演じるケイト・ブランシェット、さすがに圧巻です。
あんな指揮の仕方をしていたら一曲だけでもう、精魂つき果ててしまいそうです。
がしかし、実のところ特に前半、私は眠くてつらかった・・・。
<サツゲキにて>
「TAR ター」
2022年/アメリカ/158分
監督・脚本:トッド・フィールド
出演:ケイト・ブランシェット、ノエミ・メルラン、ニーナ・ホス、
ソフィー・カウアー、アラン・コーデュナー
心の変調度★★★★☆
満足度★★★☆☆