時を遡り、ルーツへ迫る
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どれだけの秘密が、この家族には眠っているんだろう――
「好きな人とずっといっしょにいるために」、あのとき、あの人は何をした?
2029年から1979年まで10年刻みでさかのぼりながら明かされる、
ある家族たちをとりまく真実。
生き方、愛、家族をめぐる、「ふつう」が揺らぐ逆クロニクル・サスペンス。
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とある家族の歴史が刻まれる本作。
2029年から1979年まで十年刻みで時を遡りつつ描く、
6つの短編からなっています。
冒頭2029年(!)では、おばあちゃんの死に対面した孫たちの視点から語られています。
祖母・紺の家は孫たちにはあまりなじみがなかったけれど、
天に向かって螺旋を描くようにねじくれたピンクの変な家!!
祖母の死後、娘二人とその夫、孫たちが集まって片付けを始めます。
10年刻みで時を遡りつつ、娘たち、その夫の物語が語られ、
そして祖母・紺の話へと繋がっていく。
ところが、そんな何気なさの根底に、
大きな秘密が隠されていたことに驚かされることになります。
家族としてはゆがんでいる。
けれども、日々の生活は続いていき、家族は平和に維持されていきます。
それは欺瞞ではなくて、そんなあり方もアリなのかなという風に思えてきます。
夫婦のあり方、同性愛、友情、行き場のない恋心・・・
あらゆる側面を持ち合わせつつ、ここまでたどり着いた家族の歴史。
でも最終局面の2029年は、
ちょっとは昔よりも住みやすい時代なのかもしれませんね。
本作、順当に1979年から描けば凡庸な作品になってしまうところを、
逆にしたところが全くもってナイス!!です。
まるで最後に答え合わせをしているような感じでもあります。
<図書館蔵書にて>
「あわのまにまに」吉川トリコ 角川書店
満足度★★★★★