映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

「ショートケーキ。」 坂木司 

2024年10月21日 | 本(その他)

あなたは誰と食べますか?

 

 

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ショートケーキは祈りのかたち――。
悩んだり立ち止まったり、鬱屈を抱えたりする日常に、
ひとすじの光を見せてくれる甘いもの。

ショートケーキをめぐる、優しく温かな5編の物語。

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坂木司さんの「お菓子」の話と言えば、「和菓子のアン」を思い浮かべますが、
本作はそれとは別、「ショートケーキ」にまつわる連作短編集となっています。

実は今時、和菓子よりもショートケーキの方がうんと身近かもしれません。
日常食べる和菓子と言えば、お饅頭とか大福餅で、
きちんとした和菓子は滅多に食べない・・・というのは私だけかな?

 

そこへ行くとショートケーキは、確かに多くの人の生活の中にあるのではないでしょうか。

それを一緒に食べる家族の形、友達との語らい、
そしてお一人様サイズのショートケーキとなれば1人の思いもあるでしょう。
多くの物語を秘めたお菓子なのかも知れません。

私の心に残ったのは

 

「ままならない」

結婚し、子どもができたのは良いけれど、自分のための時間がとれないママたち。

少しも目が離せない赤子をかかえて、大好きなショートケーキをじっくりと味わう時間もない・・・。
あつこは、似たような思いを抱く2人のママ友と、互助会を結成します。

大変な時期に、助け合うことができる人の輪は貴重ですね。

 

本作、それぞれ前の話に登場した人物が
かぶってほんの少し登場したり話に出てきたりするので、
それを見つけるのも楽しいところです。

 

「ショートケーキ。」 坂木司 文春文庫

満足度★★★.5