「何か」との戦い、最初の日
* * * * * * * * * * * *
音に反応して人間を襲う「何か」によって人類滅亡の危機に瀕した世界で
沈黙を守って生き延びる一家の姿を描く「クワイエット・プレイス」の第3作。
でもこれは、2作目の後の物語ではなく、
大都市ニューヨークに「何か」が襲来した最初の日に、時を巻き戻して描かれています。
ねこのフロドとともに、ニューヨーク郊外のホスピスで療養しているサミラ(ルピタ・ニョンゴ)。
その日、ホスピスのレクリエーションで、バスに乗ってマンハッタンへ出かけます。
しかし、そんな時、突如として空から隕石が降り注ぎ、
周囲は一瞬にして阿鼻叫喚に包まれます。
そしてその直後に、隕石とともに襲来した「何か」が、人々を無差別に襲い始めるのです。
やがてその「何か」は、音に反応して人の存在を嗅ぎつけることがわかります。
そして、それらは水が苦手であることも。
軍は、マンハッタンにかかる橋をすべて爆破し「何か」をマンハッタンに封じ込めますが、
それは残った人々の逃げ場をなくすことでもあるのです。
やがて、マンハッタン南の波止場から避難船が出ることが知らされ、
残った人々は静々とそちらへ行進を始めますが・・・。
サミラはホスピスにいたことで分るように、余命残り少ないのです。
そのためか、避難船の方には向かおうとしない。
一人別の方へ向かいます。
そんな時にエリック(ジョセフ・クイン)という男性と出会い、
行動を共にするようになります。
本作、エイリアンである「何か」の不気味さ、凶暴さの描写がスゴイのはもちろんなのですが、
サミラの切ない身の上と、それに同情し付き添うようになる
エリックとの心のふれあいが美しく描かれます。
こんな作品にもかかわらず、おざなりではなくきっちりと叙情的。
ちょっと見直しました。
でも、そこをじっくりと味わう心の余裕は第3作目だからこそ。
時系列通り、これが第一作だとしたら、
こんな時になに浸ってるのよ、ということになってしまうでしょう。
続編として成功している作品だと思います。
<Amazon prime videoにて>
「クワイエット・プレイス:DAY1」
2024年/アメリカ/100分
監督:マイケル・サルノスキ
出演:ルピタ・ニョンゴ、ジョセフ・クイン、アレックス・ウルフ、ジャイモン・フンスー
スリル度★★★★☆
叙情性★★★★☆
満足度★★★★☆