愛なのか、エゴなのか
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14歳で母を亡くした浩輔は、同性愛者である本当の自分の姿を押し殺しながら過ごした思春期を経て、
しがらみのない東京で開放感に満ちた日々を送っていた。
30代半ばにさしかかったある日、癌に冒された母と寄り添って暮らすパーソナルトレーナー、龍太と出会う。
彼らとの満たされた日々に、失われた実母への想いを重ねる浩輔。
しかし、そこには残酷な運命が待っていた・・・。
龍太と母を救いたいという浩輔の思いは、彼らを傷つけ、追いつめていたのか?
僕たちは、出会わなければよかったのか?
愛とは、自らを救うためのエゴだったのか?
浩輔の心を後悔の津波が襲う。
人は誰のために愛するのか。
賛否両論渦巻く、愛のカタチ。
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先日、映画を見て、ぜひ原作本の方も見てみたいと思ったわけです。
著者高山真さんは2020年に亡くなっています。
鈴木亮平さんは、本作の浩輔を演じるに当たってこの本を熟読したそうなのですが、
たしかに、この本のエッセンスがそのまま映画になっていることがよく分かりました。
この文庫には、鈴木亮平さんの特別寄稿も収録されていますので、
ぜひ本作は映画と合わせて読むことをオススメします。
私はこの原作の方が、自分の行動は「愛」などではなく「エゴ」だと言う
浩輔の気持ちが詳しく描写されているように思いました。
映画の方は相当じっくり見ないとなんで「エゴイスト」という題名なの?
とも思ってしまうので・・・。
つまりそれは、画面に鈴木亮平さんの「愛」があふれすぎていたからなのかも知れませんが。
今さらながら、2人の愛を体現した鈴木亮平さんと宮沢氷魚さんに敬意を表します。
「エゴイスト」高山真 小学館文庫
満足度★★★★☆
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