映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

「本と鍵の季節」米澤穂信

2021年07月17日 | 本(ミステリ)

ちょっぴりビターな二人の日常

 

 

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堀川次郎、高校二年で図書委員。
不人気な図書室で同じ委員会の松倉詩門と当番を務めている。
背が高く顔もいい松倉は目立つ存在で、本には縁がなさそうだったが、
話してみると快活でよく笑い、ほどよく皮肉屋のいいやつだ。
彼と付き合うようになってから、なぜかおかしなことに関わることが増えた。
開かずの金庫、テスト問題の窃盗、亡くなった先輩が読んだ最後の本
──青春図書室ミステリー開幕!!

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米澤穂信さんの、新シリーズ。
高校生たちのストーリーで、本作は「古典部」ではなくて、「図書委員」。
高校2年の図書委員、堀川二郎と松倉詩門の二人が探偵役となります。

 

なぜか不人気な図書室で、図書委員はかなりヒマ。
そんな中、この二人に変な依頼をしてくる人たちが寄ってくる・・・。
いくつかの謎を解いた後、松倉詩門自身の問題になります。
何かしら問題を抱えているような松倉詩門の家族・・・。

ちょっと大人びた二人の会話がステキなのですが、
やはり米澤穂信さんのストーリーなのでちょっぴりビターです。

 

本作に限ったことではないのですが、登場人物の高校生二人は「小市民」であろうとしていると思います。
清く正しくなんて大上段に振りかざすものではないけれど、
そして法を守ることが必ずしも正義だと思っているわけでもないけれど。
それでも、友人にウソはつきたくないし、
世間に向けてまっとうな一市民でありたいし、
よい大人になりたいと思っている。
こういう感覚が、好きです。

 

彼らは図書委員でありながら、意外と文学的内容に絡んだミステリとなっていないのも面白いところ。
物品としての「本」と「鍵」に絡めたミステリ。
いいんです、それで。
私は「名作」と呼ばれるようなものはほとんど読んでいませんし。

 

「本と鍵の季節」米澤穂信 集英社文庫

満足度★★★★☆

 

 



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