映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

ひらいて

2022年08月02日 | 映画(は行)

苦い青春の一ページ

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明るく成績優秀な愛(山田杏奈)は、同じクラスのたとえ(作間龍斗)に片思いをしています。
教室でいつもひっそりと、人と関わりを持つことを避けているように見えるたとえ。
簡単には話しかけにくい雰囲気なのです。
ある日愛は、そんな彼が誰かからの手紙を大事そうに読んでいる姿を見てしまいます。
密かにさぐった愛。
それは糖尿病の持病がある内気そうな少女、美雪(芋生悠)からのものでした。

目立たない美雪とたとえが密かに交際していることを知り、動揺する愛。
その気持ちを隠して、愛は美雪に接近します。

なるべく目立たないように、ひっそりと過ごしているたとえと美雪。
それはそれでとてもお似合いでいい感じなのです。
だからそっとしておいてやればいいのに、
愛は自分がおじゃま虫と知りつつ、二人にそれぞれ接近していきます。

愛は、なんとかたとえに自分の方を向かせようとする。
そして美雪にも、たとえよりも愛を好きになるように誘導。

全くうぶで純粋培養のような美雪は戸惑いつつも、
愛の思いに応えようとするのです。
一方たとえは、厚かましい愛の誘惑に乗ろうとはしません。

愛自身、2人の中を引き裂こうとすることを当然のようには思っていないのです。
というのも、次第に愛はやる気をなくし、授業も上の空で、
途中でふらふらと教室を出て行ってしまったりするように。
愛のよこしまな心は、ふたりの純な絆に打ちのめされていくのです。

それは青春のほんの一ページ。
けれどこうした出来事にすべてを没頭させることができるこうした年代、
うらやましくもあります。

一見か弱くて頼りなさそうな美雪ちゃんの、芯のしっかりしたところがステキでした。
でも、愛の生きるにたくましそうでパワフルなところもいいな。

<WOWOW視聴にて>

「ひらいて」

2021年/日本/121分

監督・脚本:首藤凜

原作:綿矢りさ

出演:山田杏奈、作間龍斗、芋生悠、板谷由夏、萩原聖人

 

おじゃま虫度★★★★★

満足度★★★.5

 



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