孤独な魂がふれあうとき
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最果タヒさんの同名詩集をイメージして、石井裕也監督が映画化したものです。
なるほど、作中詩的なセリフが多く、この題名もそんな中の一つです。
都会の片隅。
看護師の美香(石橋静河)は、夜はガールズバーでバイトをしています。
何か満たされず、言葉にできない不安や孤独を感じているように見える。
そんな彼女が、慎二(池松壮亮)と出会います。
慎二は、工事現場で日雇いの仕事をしています。
居心地の悪い思いを抱えていた二人が出会い、心を通わせていく・・・。
二人は「死」の近くにいます。
美香は看護師なので、病院で亡くなる人を多く見ているし、子どもの頃に母を亡くしている。
慎二は、職場の同僚智之(松田龍平)が不意に亡くなってしまったのを見ています。
特別親しかったわけではないけれど、何かむなしい。
自分自身の存在すらも不意に消えてしまうのかもしれない・・・
そうした心許なさ、不安・・・。
都会の喧噪や、夜のネオンサイン、月の光・・・。
時にはアニメーションも交えて、大都会が詩的なイメージで映し出されていく。
意外なことにこの二人の、濃密なラブシーンがないのです。
でも印象的だったのは、美香が慎二の背負うリュックに手を触れるシーン。
そして、慎二が美香の頭に手を置くシーン。
おずおずと・・・。
それだから、なぜか青くみずみずしい気配すらあるという、
不思議な感覚のある作品です。
好きです。
<Amazonプライムビデオにて>
「夜空はいつでも最高密度の青色だ」
2017年/日本/108分
監督・脚本:石井裕也
出演:石橋静河、池松壮亮、松田龍平、田中哲司、三浦貴大
都会の片隅度★★★★★
満足度★★★★☆
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