困った女たちがいっぱい・・・
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杉村三郎vs.“ちょっと困った”女たち。
自殺未遂をし消息を絶った主婦、訳ありの家庭の訳ありの新婦、自己中なシングルマザー。
『希望荘』以来2年ぶりの杉村シリーズ第5弾!
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宮部みゆきさんの杉村三郎シリーズ。
図書館予約ではいつになったら読めるかわからない、と思っていましたが、友人が貸してくれました
図書館が休業中・・・と愚痴っていたら、友人たちから本が集まりまして、感謝・感謝です!!
さて本巻は、3篇の短編が収められていまして、
どれも杉村三郎vs“ちょっと困った女たち”という構図。
自殺未遂をした後、消息を絶ってしまった主婦。
ホテルの同フロアで2組の結婚式がドタキャン騒ぎ!!
そして表題作「昨日がなければ明日もない」には、
一般常識など全く通用しないモンスター、自己中シングルマザーが登場します。
このシリーズには時々こうした人物が登場します。
けれど、穏やかな杉村氏は極力「良識」を持って対処しようとしますね。
冷静で、控えめ。
好きだけどなあ・・・。
前巻の時にも書いたかもしれませんが、
このシリーズ、彼が離婚してバツイチになってからの方が面白い・・・。
それでこのストーリー。
このモンスターシングルマザー“美姫”の、自分が生んだのち手放した息子が交通事故に遭うのです。
それはどこからどう見ても運転していた老女の運転ミスによるものなのですが、
彼女は「殺人だ!」と騒ぎ立てる。
この陰謀を暴いてほしいというのが杉村への依頼でした。
どう見ても、彼女の単なる思い込み。
杉村は整然と事故を調査して、なんの疑いもない単なる事故と証明するために
依頼を引き受けるのですね。
そうして浮かび上がるのは美姫の異常性ばかりで、周囲の人々は極めて良識的で、調査にも協力的。
美姫の息子のことを心配する温かい人たちばかり。
・・・それで私は思うのです。
このストーリーは一体どこへ向かおうとしているのだろうか・・・?
ところが、驚きの展開!!
なんとも皮肉な結果に驚かされます。
やっぱり、さすがの宮部みゆきさんでした!!
「昨日がなければ明日もない」宮部みゆき 文藝春秋
満足度★★★★☆
昨日なにしてたの? そんな昔のことは覚えていない
今夜会える? そんな先のことは分からない
ハンフリー・ボガートとイングリッド・バーグマン主演の映画『カサブランカ』でした。
「カサブランカ」!
渋いですねえ。いいセリフですね!
本作の題名は、結局内容とあまり関係ないような・・・。