THE FIRST SLAM DUNK

「懐かしさ」なんかじゃなくて

＊　＊　＊　＊　＊　＊　＊　＊　＊　＊　＊　＊

1990年～96年、少年ジャンプに掲載された大人気コミックのアニメ化です。
もちろん、テレビアニメ化もされて、私なども熱心に見ていました。
それがなぜ今さらまたアニメ映画化なのか・・・？
と、多くの人は思うでしょう。
私もその一人。

けれど、その答えは見れば分かる。
見てよかった。
そう思えて、改めてシビれてしまう作品です。

本作では、湘北高校バスケ部のインターハイ、対山王高校戦が描かれていますが、
それと合わせて、宮城リョータのこれまでのことが描かれます。

 

沖縄。
小学生のリョータは、バスケットで活躍し地元の期待を一身に受けている彼の兄にあこがれて
バスケットの練習に励んでいます。
ところが、その兄が事故死。
その後もバスケを続けるリョータですが、
周囲はリョータと亡き兄を引き比べ、失望の念を隠しません。
そんなことから始まるリョータの物語。

桜木花道ではなく、彼に焦点を当てたところがなんとも心憎い。
バスケットの頂点を目指す一人一人の誰もが、
こんなように物語を持っているということなのでしょう。

正直私、全体のストーリーもほとんど忘れかけていましたが、
思い出しましたよ、湘北高校のメンバー。
花道とリョータの他に、三井、流川、赤木、そして小暮。
それぞれが個性あふれて、いいですよねえ。

安西先生には、ちゃんとあのセリフがありました。
「あきらめたら、そこで試合終了ですよ。」
いやあ、今聞いてもやはり、名ゼリフ。

そしてもちろん花道の天然天才ぶりも楽しい。

 

さてさて、今このアニメ化の意義というところですが、
とにかくアニメ表現の最先端を行っているところ。

チームメンバーの動き、ボールの動き、体育館の音の反響、とにかくリアルです。
手前の人物の奥の方で、ちゃんと他のメンバーもそれぞれに動いている。
敵味方のぶつかり合う激しさ、肉体の重量感も感じられて
試合の様子だけでも、いつまでも見ていたい気がしてしまいます。

ユニホームの揺らぎまで表現されている。
ラスト、ゴールネットの揺らぎのスローモーションの美しさと来たら・・・。
ため息が出ます。

大々満足でした。

＜シネマフロンティアにて＞

「THE FIRST SLAM DUNK」

2022年/日本/124分

監督・原作・脚本：井上雄彦

出演（声）：仲村宗悟、笠間淳、神尾晋一郎、木村昴、三宅健太

満足度★★★★★