どうしようもない大失態の後に
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秋田、男鹿で暮らすたすく(中野太賀)。
彼は、娘が誕生し舞い上がっていますが、妻・ことね(吉岡里帆)は、
子供じみていて父親になる覚悟が定まらない夫に苛立っていました。
大晦日の夜、たすくは地域の伝統行事「なまはげ」に参加します。
妻からはお酒を飲まないようにと言われていたのに、
あちこちで振る舞われるものだから断り切れずに飲んでしまい、泥酔。
そのあげくたすくは、面を付けたまま全裸で街へ繰り出します。
そしてその姿がテレビで全国に放送されてしまうのです。
妻から愛想を尽かされ、地元にもいられなくなったたすくは、逃げるように東京へ。
しかし、たすくは東京でも居場所を見つけられません。
2年後、ことねと娘に会いたい思いが募り、故郷へ帰りますが・・・。
たすくは、実家では兄が家のことなどを取り仕切り、家族から全く当てにされていません。
子供ができたためやむなく結婚に至ったものの、妻からも全く当てにされていません。
おそらく以前からたすくの酒癖が悪くて、ことねは悩まされていたものと思われます。
それがとうとう全国レベルの大失態。
「なまはげ」の行事自体の存続も危ぶまれたということなので、仕方ありませんね・・・。
東京でのバイト先でもどうにもなじめないたすく。
しかしこんな彼にも、気遣ってくれる友人・涼介(寛一郎)がいた!!
どうなのよというくらいの、素行の悪い奴ではありますが、
たすくを心配していることは確か。
そして、おずおずと実家に戻ったたすくを、
母(余貴美子)は何事もなかったかのように受け入れるのです。
兄は冷たい視線を投げつけますが・・・。
(父は先に亡くなっている)。
母はたすくを叱るでもなく、慰めるでもなく、実に淡々としています。
今時の都会の教育ママならこうはいかないでしょう。
さりげなくお小遣い(少額)まで渡してくれる。
実は心配していたけれど、愛情を大げさには表わさない、
そういう感じ、いいなあと思います。
友人や母親、少なくともたすくを受け入れてくれる人がいる、
というのはせめてもの救いです。
しかしそれでも、ようやく再会できたことねには拒否されてしまう。
娘が保育園の学芸会で浦島太郎をやるというので、
たすくはこっそり見に行くのですが、
なんと彼には、どれが娘なのかわからない。
・・・あまりにも切ないですね。
でも彼は娘のためにできるただ一つのことをしようと決意して・・・!
最近中野太賀さんにはまっています。
以前「太賀」名義だった頃よりも「中野太賀」となってからの方が
特に目に付く感じがします。
吉岡里帆さんは、私、どうもテレビドラマに出てくる彼女の「演じる女」が
好きではないと感じることが多いのですが、本作はよかった。
たすくを見る彼女の目はいつも少し冷たいのですが、
再婚を決めた相手といる時の彼女の表情が、文句なく幸せそうに微笑んでいます。
それを見たたすくは、もう自分が入り込むすきなどないと、
一瞬で気づいてしまうくらいです。
役がまともなら、演技もしようがあるというものですね。
<Amazonプライムビデオにて>
「泣く子はいねぇが」
2020年/日本/108分
監督・脚本:佐藤快磨
出演:中野太賀、吉岡里帆、寛一郎、山中嵩、余貴美子、柳葉敏郎
ダメ男度★★★★☆
満足度★★★★★
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