映画と本の『たんぽぽ館』

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ヒノマルソウル 舞台裏の英雄たち

2021年07月01日 | 映画(は行)

それぞれの事情で奮闘するジャンパーたち

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1998年長野五輪。
スキージャンプ団体の金メダル獲得を陰で支えた
テストジャンパーたちの知られざる実話です。

西方(田中圭)は1994年リレハンメル五輪のスキージャンプ団体戦で、
日本代表を牽引するも、惜しくも金メダルを逃します。



長野五輪での雪辱を誓うも、腰の故障で代表から漏れてしまいます。
悔しさに打ちひしがれる中、五輪のジャンプ競技に
テストジャンパーとしての参加を依頼されます。
渋々引き受ける西方ですが、裏方に甘んじる屈辱と、
なぜ自分はこんなところにいるのかという疑問を捨てきれません。

さて、競技決勝当日。
1本目のジャンプが不調で4位にとどまった日本。
なんとか2本目で挽回したいところですが、風雪が強まってきています。
競技は中断。
審判員たちは、テストジャンパー25人が無事にとべたら
競技を再開するという判断を下します。

このままでは終われない。
なんとか日本チームに勝利のチャンスを・・・ということで、
心を一つに、彼らは悪条件の中、希望をつなぐジャンプを・・・。

テストジャンパーの中には聴覚障害のあるもの(山田裕貴)や、
当時まだ五輪競技ではなかった女性ジャンパー(小坂菜緒)、
以前の失敗ジャンプによる怪我で恐怖心が沸いてしまったもの(眞栄田郷敦)らがいて、
それぞれの事情の中奮闘しているのです。
彼らが次第に心を一つにしていく様、なかなか心地よい。

トホホのジャンプで皆を落胆させ、けれども憎めない原田を濱津隆之さんが好演。
アンダーシャツのエピソードが泣けます。

さて、とりあえず実話なので、結果オーライだったのですが、
実のところこんな場合、やはり2本目中止という決断もアリだったのでは、という気がします。
イケイケドンドンのノリで危険性に目をつぶるのは、
必ずしも賢明な措置ではないのでは? 

なんだか今無理矢理行われようとしている東京オリンピックと重なるような気がして、
ちょっと複雑な気持ちになりました。

このことについても、どうか「結果オーライ」であって欲しい。
そう祈るしかありません。

<シネマフロンティアにて>

「ヒノマルソウル 舞台裏の英雄たち」

2021年/日本/114分

監督:飯塚健

出演:田中圭、土屋太鳳、山田裕貴、眞栄田郷敦、小坂菜緒、落合モトキ、濱津隆之、古田新太

 

裏方度★★★★☆

実話発掘度★★★★☆

満足度★★★.5

 

 



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