つい先日17日(水)午後から3件の展覧会に行って来ました。
最初は上野国立博物館です。ニューヨークのオークションにかけられて有名になった運慶作とみられる大日如来像(①)。そしてその隣に並んで展示される同じく運慶作とみられる光得寺(足利市)の大日如来像(②)が目当です。六波羅蜜寺の仏像展も同時に行っており、運慶作が1体、そして運慶作と見られる仏像が1ないし2体一緒に見ることができました。やはり①の大日如来座像の顔は秀逸です。切れ長の目がややつり上がっていて、顔はふくよかであり、凛とした中の穏やかさが凄さを感じさせます。来場者の中には、お年寄りがこの大日如来の前で手を合わせ泣きながら手を合わせ拝んでいる姿も見受けられました。一方②は顔の漆箔の剥れがやや大きく、顔の表情を細かく見てとれないのが残念です。ただ、①にはない細かいアクセサリーが両二の腕とお腹にあり、繊細さを感じさせます。両者と画も衣を薄く着飾って描いており、これも運慶の特徴だそうです。
次に、渋谷・松涛美術館の「大道あや展」。大道あやさんは江戸時代の仏教行者であり仏像彫刻家の木喰と同じように60歳になってから創作活動を始めたそうです。キャンバスに花、動物、魚など自分の好きなものをたくさん並べて描いていて楽しい絵です。やや、うるささがあるのは否めませんが、絵本などにするとあっさりして見やすく持ち味が活かせるようです。それに、秩父、越生、川越、東松山などの祭りや獅子舞を描いており、時折その方面を訪れていただけに懐かしさも感じました。
3番目は、原宿の太田記念美術館「ベルギーロイヤルコレクション展」です。写楽コレクションを始めとし、葛飾北斎「富嶽三十六景 凱風快晴」、国芳、晴信、広重、国貞、歌麿の作を展示しています。歌麿作では、珍しい妖怪を描いた「見越入道」「一つ目」は世界で1点だそうです。
そんな中から、僕の目についたのは、喜多川歌麿の「高島おひさ」。寛政時代の美人の一人です。彼女も細めで切れ長の目がややつり上がっています。ただ、顔はふっくらとは違い面長です。
[高島久(ひさ)のプロフィール]
江戸両国薬研堀米沢町2丁目の煎餅屋高島長兵衛の長女。長兵衛が薬研堀に水茶屋を出したため、おひさはそこを手伝い評判の看板娘となった。
歌麿は彼女をモデルに浮世絵を描き、さらに大評判となる。おひさを描いた大首絵「高島おひさ」は寛政5年(1793)頃の作で、当時のひさは17歳であったらしい。
2007年3月4日(日)にNHKで放映された「歌麿・紫の謎」にもこの絵が紹介されていました。ボストン美術館にも所蔵されているこの絵は、色褪せが少なく紫の色が鮮明に残っています。残念ながら、ベルギーロイヤルコレクション展のものは鮮明にはその色合いを覚えていないので分かりません。
高島ひさを描いた絵には、団扇あるいは服には「丸に三つ柏」の家紋が描かれています。それをちょっと比べてみました。
左:「高島おひさ」より団扇の家紋、中:「高名美人六家撰」のうち [高島おひさ]より服の肩口の家紋、右:「丸に三つ柏」の家紋それぞれ葉のスベ(葉脈の線)の本数が違うようです。左は片側のスベが3本、中は2本、右は4本です。しかし、左と中は右「丸に三つ柏」に対し「陰」になるため、1本少なくするのが規則ということですので、中のものが2本というのは1本少ないようです。
柏は「神聖な木」とされているため、神社や神家によく使用されるようです。
写真の色合いは、前述のTV「歌麿・紫の謎」の映像に合わせて調整してみました。
この先、いろいろなことを調べてみたいと思います。
最初は上野国立博物館です。ニューヨークのオークションにかけられて有名になった運慶作とみられる大日如来像(①)。そしてその隣に並んで展示される同じく運慶作とみられる光得寺(足利市)の大日如来像(②)が目当です。六波羅蜜寺の仏像展も同時に行っており、運慶作が1体、そして運慶作と見られる仏像が1ないし2体一緒に見ることができました。やはり①の大日如来座像の顔は秀逸です。切れ長の目がややつり上がっていて、顔はふくよかであり、凛とした中の穏やかさが凄さを感じさせます。来場者の中には、お年寄りがこの大日如来の前で手を合わせ泣きながら手を合わせ拝んでいる姿も見受けられました。一方②は顔の漆箔の剥れがやや大きく、顔の表情を細かく見てとれないのが残念です。ただ、①にはない細かいアクセサリーが両二の腕とお腹にあり、繊細さを感じさせます。両者と画も衣を薄く着飾って描いており、これも運慶の特徴だそうです。
次に、渋谷・松涛美術館の「大道あや展」。大道あやさんは江戸時代の仏教行者であり仏像彫刻家の木喰と同じように60歳になってから創作活動を始めたそうです。キャンバスに花、動物、魚など自分の好きなものをたくさん並べて描いていて楽しい絵です。やや、うるささがあるのは否めませんが、絵本などにするとあっさりして見やすく持ち味が活かせるようです。それに、秩父、越生、川越、東松山などの祭りや獅子舞を描いており、時折その方面を訪れていただけに懐かしさも感じました。
3番目は、原宿の太田記念美術館「ベルギーロイヤルコレクション展」です。写楽コレクションを始めとし、葛飾北斎「富嶽三十六景 凱風快晴」、国芳、晴信、広重、国貞、歌麿の作を展示しています。歌麿作では、珍しい妖怪を描いた「見越入道」「一つ目」は世界で1点だそうです。
そんな中から、僕の目についたのは、喜多川歌麿の「高島おひさ」。寛政時代の美人の一人です。彼女も細めで切れ長の目がややつり上がっています。ただ、顔はふっくらとは違い面長です。
[高島久(ひさ)のプロフィール]
江戸両国薬研堀米沢町2丁目の煎餅屋高島長兵衛の長女。長兵衛が薬研堀に水茶屋を出したため、おひさはそこを手伝い評判の看板娘となった。
歌麿は彼女をモデルに浮世絵を描き、さらに大評判となる。おひさを描いた大首絵「高島おひさ」は寛政5年(1793)頃の作で、当時のひさは17歳であったらしい。
2007年3月4日(日)にNHKで放映された「歌麿・紫の謎」にもこの絵が紹介されていました。ボストン美術館にも所蔵されているこの絵は、色褪せが少なく紫の色が鮮明に残っています。残念ながら、ベルギーロイヤルコレクション展のものは鮮明にはその色合いを覚えていないので分かりません。
高島ひさを描いた絵には、団扇あるいは服には「丸に三つ柏」の家紋が描かれています。それをちょっと比べてみました。
左:「高島おひさ」より団扇の家紋、中:「高名美人六家撰」のうち [高島おひさ]より服の肩口の家紋、右:「丸に三つ柏」の家紋それぞれ葉のスベ(葉脈の線)の本数が違うようです。左は片側のスベが3本、中は2本、右は4本です。しかし、左と中は右「丸に三つ柏」に対し「陰」になるため、1本少なくするのが規則ということですので、中のものが2本というのは1本少ないようです。
柏は「神聖な木」とされているため、神社や神家によく使用されるようです。
写真の色合いは、前述のTV「歌麿・紫の謎」の映像に合わせて調整してみました。
この先、いろいろなことを調べてみたいと思います。