『はい?
『お客様は、昔〇〇高校にいらした、全英連参加者先生では?
『・・・(だれだぁ?)
『自分は〇〇高校の卒業生です。
送別会の会場、ちょっとしたフランス料理店だったのだが、そこの店長兼料理長が、僕のことを知っているという。わざわざ挨拶に来てくれた。でも、僕は思い出せない。ちょっと考えて、絶対間違いないことを尋ねてみた。
『申し訳ないけど、思い出せない。でも、僕はあなたの担任じゃないよね。
『はい。
『卒業の時担任はどなた。
『数学の◎◎先生でした。
『(う~ん...)それじゃあ、君たちから制服がブレザーになった学年だね?
『そうです。
どうやら2番目の勤務校で、3回卒業生担任をしているのだが、最初に担任をした卒業学年の生徒だった。
家に帰り卒業アルバムを見ると、顔はずいぶんおじさんになっていたけど、平成6年3月卒業の生徒だった。17年前の生徒が、僕のことを偶然見かけ、「あの先生だ」と思って話しかけてきてくれる。ちょっと信じられない感じがした。
ドキドキしたけど、幸せだった。
〇一部フィクションを含みます。