学校に次年度採択見本として、教科書が送られてくる季節である。文英堂の教科書を取り上げたのが、2年前だった。
過日こんな教科書が英語科に届いた。増進堂の『NEW STREAM コミュニケーション英語Ⅲ』の教科書である。
Strategic Reading Focus Standard Reading Skillの活用を軸に基礎から大学入試突破を目指す「実戦的な教科書」というふれこみである。(新出語703、総語数7,282) |
第一印象は、「工夫されているな...」
「どれだけたくさんの分量」を「効率的」かつ「速度を意識させて」読ませることができるかに、手を尽くしていることだ。「wpm」を強く意識させる作り。その意図が、使う者(生徒・教師)にストレートに伝わると思う。ただ、それだけではない。印象的だったことを、列挙してみよう。
この教科書の全体構成は2部構成である。
第1部のSkillsは、英文を読む時に気をつけるべきことを「スキル」としている。スキルの解説を読むことにより、本文各章を読む時、どのような技能をめざすのかわからせる構成である。本文を読み終えてから、内容確認問題。これを1サイクルとして、10のスキルの導入(確認、定着)をめざす。
読み物は150wから200w程度。教科書執筆者たちは、それぞれどの程度の速度で読ませたいかわからないが、うまくできている。
第2部のMain Chaptersは、第1部よりもやや長い本文を読みこなすことをめざしている。各章の英文の語数は、スキルのおおよそ2倍から3倍。ただし、まとめて読むのではなく、分割されている。いきなり本文が長く、難しくなった印象をさける作戦である。
本文の内容理解を確認するために、Comprehensionがある。全体として日本語で解答できる部分が目立つ。このことには意見が分かれるかもしれないが、僕は問題ないと思う。
Main Chaptersの各章では、既習事項のスキルへの目印がつけられ、わからない場合は教科書のどこを見るとヒントがあるか明示されている。小さなことだが、生徒にも教師にも親切な作りである。各章のReviewはComprehensionの強化。その後に文法事項のまとめがある。
Main Chaptersの後に、Activitiesがある。これをどの程度、いつ使うかが先生の腕の見せ所である。
Appendicesが面白い。一つ目は分野別Hot Topics。ここは各分野の背景知識のコラム(で、いいのかな)である。また、ディスコースマーカー一覧表も便利。ここはもっと前のページに置いてもと思う。
全体を通して感じたことは、一見何だか難しそうな教科書に見えるけど、実は違うということ。スピードを意識して教師が授業デザインを作成できれば、1年間で消化できる分量だということ。ひょっとすると、外国語科(英語科・国際科)設置校の総合英語の教科書・副教材に使えるかもしれない。
増進堂
Good Job!!