4月15日に、「令和5年度開設予定の公私立大学の学部等の設置認可等について(令和4年4月7日)」をアップ。その時にふれた「データサイエンス」について。
データサイエンスの定義(Oracle Japanのサイトから) 定義されたデータサイエンス |
データサイエンス学部設置大学。カッコ内は学科名と開設年度(以下同じ)である。
国公立
滋賀大学(データサイエンス学科,’17年)
横浜市立大学(データサイエンス学科,’19年)
私立
武蔵野大学(データサイエンス学科,’19年)
立正大学(データサイエンス学科,’21年)
各大学のウェブサイト掲出情報によれば、卒業時に授与される学士の学位は以下の通り。
滋賀大、横浜市立大のデータサイエンス学科
「学士(データサイエンス)」
武蔵野大、立正大のデータサイエンス学科
「学士(データサイエンス学)」
・・・どう違うんだろう。
これら以外にも学科として以下の大学に開設されている。
中央大学
理工学部 ビジネスデータサイエンス学科(’21年)
南山大学
理工学部 データサイエンス学科(’21年)
大阪工業大学
情報科学部 データサイエンス学科(’21年)
日本工業大学
先進工学部 データサイエンス学科(’22年)
名称にはデータサイエンスを含まないものの、「データサイエンス」が学べる大学は他にもある。
開設年度を見ると、学部名、学科名にまで ”出世” するようになったのは、ここ数年、最近のことである。よく言えば、「急速に社会にその必要性が認知された結果」である。しかし、進学した学生や、送り出した高校が期待する教育内容、卒業後の進路への評価(評判)が得られないと、「学生募集」のための学部名、実質的には看板のかけ替えと言われる危険性はある。
設置の認可は受けている。教学スタッフ、つまり指導者については、ひとまず文科省(大学設置・学校法人審議会)のチェックは通過していることになる。でも、日本国の大学教育全体として見た場合、急拡大に対応できるほど、適任者が確保できるのだろうか。
過去の例を見ると。新規開学の大学等へは、認可時に遵守事項や助言事項が「山のように」つくことが多い。よく目つくものにこんなものがある。
完成年度前に、定年規程に定める退職年齢を超える専任教員数の割合が比較的高いことから、定年規程の趣旨を踏まえた適切な運用に努めるとともに、教員組織編制の将来構想について着実に実施すること。
上記「データサイエンス学部・学科」への遵守事項・助言事項ではない。明記する。
開設年度以降、学部完成年度前に、ある科目の担当者が常勤者として存在しない可能性がある。担当者名簿にある先生の再雇用で乗り切れるのかも知れないが、大丈夫なのか。遵守事項や助言事項を見るたびに考えてしまう。
既設の大学に加えて、令和5年度も4私大で「データサイエンス学科」の開設申請がなされている。国公立大も複数開設計画が進行中である。おそらく令和6年度以降もこの傾向は継続されるだろう。
大学教育においてデータサイエンスが「人気」を得て、急拡大する。生徒の進学希望先になる。そのこと自体はいい。ただ、開学時は当然のこと、通常の講義や演習、卒業研究・卒論指導を担う人材は、安定的に確保可能か、学習がそれぞれの大学の Diploma Policy で示されたことを具体化し、卒業後の進路につながるのか。過去何度か、ある分野の人気が急拡大、学部数が急増したのを、高校は見ている。「データサイエンス」についても、これからきびしく見ることになるだろう。