正直に告白すると私の現在乗っている自動車は話題のビックモーターで購入した。
もともとはチェーン店での中古車購入は想定していなかった。
そもそもその頃は私としては商売が順調であったこともあり、以前から欲しかった車は飛行機もバイクも作っている某メーカーの新車のハイブリッド車で、中古車なんか買う気はなかったのだ。
ハイブリッドなので燃費の心配は少なく、ものも適当に載せられるサイズで仕事もプライベートも問題なし。
万一、ディーラーから買うことがなかっても、付き合いのある整備工場の社長に相談するのも手段の一つだった。
そんな私の新車購入作戦をぶっ潰したのは、例によってカミさんなのであった。
「今が良くても、何が起こるのかわからへん。車なんて中古でいいやん。動いたら。」
実にフランス庶民的な考え方だった。
かみさんはフランス人ではなく大阪人だが若い頃10年あまりフランスで貧乏学生をして過ごしていたことがあり、感覚は一般の日本人と異なる部分がある。
車なんて動けばなんだっていい。
新車なんかもっての他。
ということで私の新車購入計画は廃案となった。
結局中古を買うことにした。
そのまま中古路線でいくとなると、いつも車検や点検・修理をお願いしている前述の地元の小さな整備工場に頼んで適当な中古を探してもらうことになる。
ところがこのときは久しぶりの自動車購入だったので、
「だいたい中古はいくらぐらい」
と調査も兼ねて大きな店に下見に行こうということになった。
台数の多いところで物色して、写真を撮って、
「こんなのが欲しい」
といつものところにお願いするのが良いだろうということになった。
そして訪れたのが自宅から車で10分ほどのところにあるビックモーターなのであった。
ビッグモーターを訪れたのは特に理由はない。
展示台数が多く、価格チェックにはもってこいと思っただけなだった。
その時は買う気がまったくなかった。
排気量1300〜1000CCぐらいで燃費とコンディションが良くて安いやつ、と思って探していただけだった。
で、そこで目に止まったのが日産のノートとマツダのデミオ。
両方とも極めて安い価格が付けられて並んできたのだ。
「事故車か?」
と思えるような金額だ。
どれくらい安いかというと私が今購入したいと思っているカーボンフレーム+シマノ105を搭載したロードバイクよりも安い金額なのであった。
どちらかというと自転車のフレームだけの値段に等しい自動車なのであった。
両方ともコンディションは良さそうだった。
「これにしよか。これ。」
とカミさんが指差したのが日産のノートだった。
日産。
実のところ、私は日産が好きではない。
好きでない、というよりも嫌いだ。
あのゴーンが経営する以前から日産の自動車がかっこいいとか、性能が良さそうと思ったことが一度もない。
それだけではなく、詳細は省くがあの大企業の代表みたいな様々への対応が気に入らず、絶対に買いたくないメーカーなのであった。
そこへ行くと、ノートよりは少しばかりチッコイものの、マツダのデミオはヨーロピアンデザインなのでなかなかいい。
ノートは運転したことがないが、同じタイプのデミオは沖縄でレンタカーしたことがあり運転しやすい自動車との印象が強く残っていた。
しかも発売当時、
「トヨタプリウスに匹敵する燃費性。スカイアクティブ。」
と雑誌で評価されていたことを記憶していたので、必然デミオに絞り込むことにした。
そもそもマツダは飛行機とバイクを作っている自動車メーカーと並ぶ私の好きなメーカーだ。
学生の時、初めて乗ったのが父が所持していたロータリーエンジンを積んでいたマツダのセダンで、これを借りてドライブにでかけると燃費は悪いが走りは痛快ということが記憶に焼き付いており、マツダ車には愛着があった。
価格もロードバイクより安く、元々買おうとしていた新車の約20分の1。
デザインもヨーロッパ的という理由でカミさんにも意義はなく、その場で購入を決定。
車検や点検はこれまでの付き合いのある整備工場に頼むことにしたのだった。
しかし買った車はすぐに不備が発覚した。
引き取ってすぐに電動サイドミラーが壊れた。
フロントガラスにも修理したあとのあるものすごくチッコイ傷があるのも発見した。
いつもの整備工場でなら話は早いがビッグモーターは知らない中古車業者だったので、クレームを付けてから電動サイドミラーはすぐに修理対応してくれたもののフロントガラスはなかなか対応せず。
結局「車検は通るんだから」としばらくそのまま利用することにした。
しかし、こういう修理のやりとりをしている間も、やれ保険だの車検だのと斡旋の電話をかけてくる。
面倒くさいことこの上ないので、ビッグモーターからかかってくる電話を「迷惑電話」に登録。
出ないことにしたら1年ほど経過したあとかかってこなくなった。
幸運なことに走りそのものは問題なく、軽快に走行している。
燃費も最高で25km/lを記録して、
おお、なかなかええやん。
と思わせたが車の性能とビッグモーターに関係はなく、メーカーの省エネ技術の賜物に違いない。
なお、最近になって塗装にムラがある部分を発見。
ますます我が愛車の安さは何か理由があったのかな、と改めて考えているところだ。