出光美術館で開かれている「日本の美・発見1『水墨画の輝き』」を観賞してきた。
出光美術館。
かつて大阪の長堀橋に「出光美術館大阪」があったときは、同美術館の会員になるくらい頻繁に通っていたのだが、数年前に閉館。
今はたしか大阪市立近代美術館分館となっており、一度も足を運んだことがない。
東京の出光美術館を訪れたのは今回が初めてで、やはり大阪とは規模が違うと驚きもひとしおなのであった。
ともかく、今回の「水墨画の輝き」は是非とも観賞したい展覧会だった。
というのも、私は水墨画には関心が少なくない。
なぜなら、私の大学の時の恩師の一人、宮川一夫先生は水墨画が先生の基礎であり、その濃淡の中に色彩を見いだす感覚を磨いたため、世界有数の映画キャンメラマンになったことを熱く語ってくれたことがあったからだ。
以来わたしは水墨画の世界に関心を持つようにこころがけ、こういう展覧会が開かれるとできるだけ足を運ぶようにしているのだ。
今回は雪舟や等伯など、国宝級の作家の作品が展示されており、水墨画の専門でなくても楽しめる内容だ。
会場は多くの来場者で賑わっていた。
平日の夕方ということもあり、多くは年配の人たちで、私のようなサラリーマンの姿もちらほらと見られた。
どれもこれも素晴らしい作品で、美術の教科書で見たことのあるような作品が数多く展示されていた。
とはいえ、私にとって最も印象に残ったのは宮本武蔵の「竹雀図」という作品と葛飾北斎の「亀と蟹図」なのであった。
宮本武蔵がまさか、こんなに素晴らしい「画家」であるとはついぞ知らなかったので、その衝撃は小さくなかった。
筆遣いといい、空間のとり方といい、「まさか、あの宮本武蔵?」と思える内容だ。
まさに「一芸に秀でる者は多芸に秀でる」を地でいっている作品なのであった。
もうひいとつの葛飾北斎の「亀と蟹図」は扇子に描かれた水墨画なのであったが、墨の濃淡を巧みに使った蟹のディテールの表現はまさに近代日本画の基礎と行っても過言ではない、新鮮さをを失わない生き生きとした北斎らしい作品になっていたのであった。
この展示会は今月31日まで。
出光美術館は景色も素晴らしく、恐れ多いことながら皇居も一望できる、かなり洒落たスポットでもあった。
出光美術館
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