<新・とりがら時事放談> 旅・映画・音楽・演芸・書籍・雑誌・グルメなど、エンタメに的を絞った自由奔放コラム
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ピクサーアニメーションの昨年の作品「ウォーリー」を先日ビデオで初めて見てからMacを起動させるたびに笑いがこみ上げてくる。
なぜなら、あのボロボロだけど陽気なスクラップ処理ロボット「WALL・E」の起動音がMacの起動音だからなのであった。

多くの人が知っているようにピクサーアニメーションスタジオはアップルコンピュータ社のスティーブジョブスが最高経営者を勤めている。
いわばアップル社とピクサー社は日本風にいえば兄弟会社になる。
だから、ウォーリーが再起動をかけるたびにあの「うぉ~~~~~~ン」というMacの起動音が流れ、それがなんとも上手なシャレに聞こえるので、なんとなく笑えてしまうのだ。

この「うぉ~~~~ん」という起動音。
Macユーザーの私も最初は「どこかで聞いたことのある音だな」という感じで、何の音だか全く気づかなかった。
ところがいったん気づいてしまうと、「うぉ~~~~ん」という音が持っているもともとのマヌケな雰囲気が、ウォーリーの個性に妙にマッチしていて笑えてしまったのだった。

ほかにも物語とは関係のない「ささやかなシャレ」がこの映画には少なくなかった。
それがまた強烈な魅力を放っているのだ。
ウォーリーが20世紀FOXのミュージカル「ハロードーリー」を見ている機器がiPodであったり、ピクサーの映画にしては珍しくライブ映像が使われているのだが、そのライブビデオを制作しているのがかつてピクサーがその一部分であったILMだったりするのだ。

もちろん映画そのものも面白い。
今年度のアカデミー長編アニメーション賞を受賞したにふさわしい作品で、物語もしっかりしている。
700年後のゴミに埋もれた地球の姿とそこで「生活している」ウォーリーの姿は、とてもCGとは言えない、「生」さが存在していた。
ところが、この映画はピクサーの作品としてはどことなくやるせない寂しさが全体を包んでいて従来の作品とは雰囲気がずいぶんと異なったものになっていた。
とりわけラストは非常に寂しく、やるせなく、見終わってから何時間後あるいは何日後かに思い出して変に考え事をさせられる部分がなくもない。
もしかすると、それだけピクサーの映画に重みが加わっているのかもわからない。

ともかく毎回のことながらピクサーの映画は作品の数を重ねるごとに、その魅力は増していくばかりだ。
こんな映画製作会社、ほかにあるだろうか。
「ゔぉ~~~~ん」という起動音を聞くたびに、ウィーリーを思い出しては笑ったり考えたりしてしまうのだ。

~「ウォーリー」 2008年ウォルトディズニー配給 ピクサーアニメーションスタジオ作品~

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