<新・とりがら時事放談> 旅・映画・音楽・演芸・書籍・雑誌・グルメなど、エンタメに的を絞った自由奔放コラム
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子供の頃から腸が弱くてよく下痢をしていた。

高校生になった最初の夏休み。
いつものように勉強もせずにかき氷を食べたりアイスクリームを食べたり、腹を出して昼寝をしていたりしたら俄におなかを下した。
下しようがいつもと違い強烈だったので、とりあえず薬を飲まなければならないと思った。

そこで登場するのが「正露丸」。

高校生のとき、既に愛国心いっぱいであった私は「正露丸」は「征露丸」でなければならないと日頃から思うほどのアホ・ナショナリストで、ロシアを打ち破る力のある薬なので下痢ぐらい瞬時に止めると、いつもこの臭い薬を愛用してた。
で、このときもやはり飲むのは正露丸。
俄下痢ピーを止めるべく、いつもより多めに飲んだのであった。

この「多めに」がいけなかった。

薬の接種量は説明書通りでなければならないことをこれほど感じたことはこれまでも、これからも一度もない。
多めに飲んだ正露丸は確実に作用し、私は便秘になったのであった。

夏休みのこと。
暑いさなかの便秘はなかなか気分を盛り上げない。
そこで私は生まれて初めて体験している便秘を克服すべく、当時盛んにテレビコマーシャルされていた「コーラック」という便秘薬を購入。
説明書通り水でゴクリと飲み込んだのであった。

それから地獄が始まった。

コーラックも確実に作用した。
これは下痢を止める正露丸とは反対の効果をもたらしたが、その効き目は想像を絶した。
便秘を止めるどころか下痢が止まらなくなり、水便になり、そしてついに何も出ないほど危機迫る状況に陥った。
既に肛門はヒリヒリを通り越している。
食べ物も口を通らない。
下痢を止めるべく正露丸を飲んでみたが、全く効果がない。

今度日露が戦争することがあればコーラックには注意を払う必要がある。

そして、「食べる」と同時に「出る」という単なるパイプ状態になったとき、私は尻の穴を押さえながらかかりつけのお医者さんを訪ねた。

「アホかいな。あんた。コーラックは強度の便秘を治したい『女性のための薬』やで。」

とお医者に笑われ、点滴を処方された。
強烈な下痢ピーは間もなく終息したが、体重が10kg以上も減少したのであった。

「お、○○。えらい痩せたやん。夏休み中、なんかしたん?」
9月。
夏休みが終わって学校へ行ったら、ダイエットでもしたのかという友人の質問を笑ってごまかしたのはいうまでもない。

忘れられない昭和55年の夏の出来事なのであった。。


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