年明け1日から、阪神高速道路と首都高速道路がETCカードによる距離制料金を導入する。
「これって、短距離に有利かな」
と思って阪神高速道路のWEBページを見てみてビックリした。
なんと距離制で便利になるどころか、事実上の短距離値上げなのであった。
確かに2路線またがって走ると便利なところもあるにはあるのだが、私なんかが最も利用する大阪市内とその近郊なんかは、実際のところ現行の700円から900円に変わる所が多い。
「短距離、中距離は一般道を走らんかい」
ということではなくて、きっと最も利用者の多い都市部の利用料金の値上げを画策した結果なのかも知れないと思った。
これで何年もかかったETCカードによる自動車通行料金の理想的な徴収システムが完了する。
ところで、最近だれも何も言わなくなってしまったのだが、阪神高速道路が営業を開始した唱和30年代の終りは、
「阪神高速道路は建設費その他の償却が済んだ時点で無料化する」
という約束があったことを、ご存知だろうか。
今の環状線が開通してから空港線(池田線)や堺線が順次開通していくに従って、
「新しい路線の開設にカネがかかる」
からなんて理由で料金を徴収し続けて現在に至っている。
まるで、「新しい路線を建設しなければならないので運賃を下げられない」と主張する大阪市営の地下鉄と瓜二つだ。
尤も高速道路の料金を無料にするのは維持管理するための費用捻出の上からも、あまり上等な考えではないが、それでも値上げし続けなければならない理由は何もないのは庶民の感情だ。
また、これも首都高の事情は知らないが、阪神高速道路は平成7年の阪神淡路大震災で巨大な被害を受けるまで黒字の公団なのであった。
なぜなら、阪神高速道路公団は全国でも極めて珍しい「天下りゼロ」の健全な組織だった。
さすが、民間資本で街を運営するのがモットーの大阪の公団ではあった。
ところが震災のために神戸線を中心に大規模な復旧工事が必要となり、なんと、中央政府のお役人様が天下ってきたのだという。
「わしらを組織に入れな、金、出さんで」
とマル暴みたいにすごんだのかもわからない。
で、どういうわけか、それから赤字が続いている、という、これまた一般庶民の頭脳では理解しがたい経営に転落してしまったのであった。
無料化の約束は反故。
料金は値上げ。
経営は赤字。
不思議な現象なのだ。
ここから見られるのは、もし東北地方で民間主体で黒字経営していた公共事業の団体があったとしたら、決して「震災復旧」の弱みにつけこまれて、中央政府のお役人様を受け入れはならない、ということだ。
もしそういうオファーがあったら、
「阪神高速道路会社みたいになりてえべか!」
と一致団結することをお勧めしたい。と、思う距離制導入なのであった。
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