小学生の頃、自分と同じような年頃の子供がテレビで「黒ネコのタンゴ」を歌っていると、「すごいな~」と思った。
中学生の頃、自分と同じような年齢の中学生が自身の父親の真似をして「ど~もすいません」などと落語をしていたりしたら、凄いけど「おもろないやん」と思った。
高校生の頃、自分とお同じ年頃の野球少年たちが阪神タイガースの本拠地で高校野球選手権をやっていたりすると、「上手いな。うちの野球部には無理やな」と感心した。
大学生の頃、自分と同じ年頃の大学生が「せ~こちゃ~ん!」などと叫んでいるのを見ては、「キョンキョンのほうがいい」と思ったものの情けなくなった。
そして今現在、自分と同世代の科学者がノーベル賞をもらったのを聞くと、「すごいな~、所詮私は中小企業のマーケティナー。そして研究員は研究員でも連携研究員の身の上よ」と自分を蔑んでしまい、若干情けなくなった。
ということで、関西人の京都大学・山中伸弥教授がiPS細胞の功績でノーベル生理学・医学賞を受賞した。
長らく、
「今年こそ、今年こそ」
と言われてきた人だけに、ようやくという感がなくはない。
とはいえ、栄えあるノーベル賞受賞者は日本人でこれが19人目だということで、アジアではもちろんトップ。
世界でも8番目だというので、これまでの私の「ノーベル賞は白豪主義」という偏見は切り捨てなければならないかもしれない事態でもある。
話は違うが、今年も日本人はイグノーベル賞を受賞しており、こちらは6年連続だという。
iPS細胞も凄いが、今年のイグノーベル賞の方が私には実用的だ。
今年のイグノーベル賞は「話しだしたら止まらない人の話を効果的に止める技術=おしゃべり妨害技術」に対して授与された。
こちらも世界の最先端の科学技術を研究する国立の産業総合研究所の栗田さん、塚田さんという二人の研究員にささげられたのだ。
おしゃべりを止める技術は、実は私の上司に是非とも使ってみたいと思う技術だ。
というのも、私の上司は会議でも商談でも、なんでもかんでも話しだしたら持論を展開しだして止まらないメイワクな人なのだ。
それも寄る年波のせいか、同じ話を何度も繰り返す。
落語の「住吉籠」に出てくる酔っぱらいみたいだ。
酔っぱらいならまだ酔いが覚めると静かになるが、私の上司の場合は酔っていないので、静かになりようがない、という深刻な欠点がある。
しかも困ったことに、上司の話は相手がどんなに偉い人でも止まらなくなるので周囲の者は迷惑だけではなく、ヒヤヒヤする。
仕事の関係でエラい大学のセンセイに会うこともあるのだが、話は人選ばない。
この話を止めるのはなかなか難しく、高度なテクニックを要する。
「もういい加減黙ったらどうです。」
「相手が迷惑しています。」
「それはともかく、あれはいいですね」
なんて直接的で変な止め方をすると怒り出すからやりにくい。
この「おしゃべる妨害技術」をこういうシュチュエーションで導入すると効果的に違いないと思ったのである。
それにしても国もこういう笑える技術に金を使うなど、なかなか粋ではないか。
そういえば中国人はデモでもなんでもガナリだしたら日本人だけではなく、世界中の人々が迷惑をするが、この中国人のデカ声がなりたて防止への有効な「武器」になるかもしれない。
で、なんの話だったか。
そう、山中先生である。
この先生、朝のラジオを聞いていたら正直言って医者としては優秀な人ではなかったようだなのだ。
手術をすると他人の何倍も時間がかかってしまうため、
「きみ、基礎研究に回ったらどないや」
冗談かどうかはわからないが、そんなことを言われたのがノーベル賞を受賞する研究を始める切っ掛けの一因になったのだという。
ともかくテレビで伝えられるその素顔は、ノーベル賞をとった偉い先生というよりも、話でウケを狙う関西人そのままで、なかなか親しみのわく、どてらい科学者なのであった。
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