本というものは、一般的には、歳を重ねるに従って理解が深まるものです。
経験や体験、キャリアの蓄積で、昔分からなかったことが、文字面から引き出せるからです。
しかしながら、そうではない本もあります。
童話です。
小学生のころは何となく理解でき納得していた童話「星の王子さま」・・・今読むと、懐かしさはあるものの、理解できないところが多々あります。
月並みな言葉で言えば、ピュアなココロ、子どもの純粋無垢なフィーリングがなくなったということでしょうか(苦笑)。

星の王子さま
アントワーヌ・ド・サンテグジュペリ著 池澤夏樹新訳
集英社文庫 390円+税
「星の王子さま」・・・半世紀ぶりに読んでみました・・・それにしても年取ったなあ~(笑)。
Le Petit Prince 小さな王子という意味でしょうか?
池澤夏樹の新訳もこなれていて、詩的な余韻もある名訳だと思います。
沙漠の真っただ中に飛行機の故障で不時着した飛行士が、金髪の不思議な少年に遭遇して始まるストーリーです。
筋は終えるのですが、子どもの頃スッと入ったものが、入らなくなっています・・・涙。
ものは心で見る
肝心なことは目に見えない
キツネの話すこのフレーズは、名言として残っているので、何となく分かるのですが、王子様とキツネの会話についていけない自分・・・ちょっと寂しいです。
王子様が、巡るさまざまな星・・・6つの星を旅し、最後に地球にたどり着きます。
王様の星
うぬぼれ男の星
酒飲みの星
ビジネスマンの星
点燈夫の星
老紳士の星
アントワーヌ・ド・サンテグジュペリ(1900~1944)は、作家にして飛行士。
フランス・リヨンの伯爵家で誕生。民間航空郵便の創設時代にパイロットとして活躍。
彼の少し前の世代までは、飛行機乗りは貴族だけに認められた特権でした。
「夜間飛行」「人間の土地」などの作品があります。
1944年の第二次世界大戦中、偵察飛行のために飛び立ち、そのまま行方不明になります。
ちょっとミステリアスな人物です。
サンテグジュペリ・・・なんとなく村上春樹ワールドに繋がっているような気がします。
「風の歌を聴け」「1973年のピンボール」などの初期作品に熱中したのですが、「ノルウェーの森」あたりから、ほとんど読まなくなった村上春樹さんの作品・・・。
おそらく、そのことと、サンテグジュペリの童話が理解できない・・・というのは、根っこの部分でつながっているのかもしれません。
星の王子さま・・・。
今度は、現役を引退、本当の爺さんになったときにロッキングチェアでパイプをくゆらせながら、読んでみようと思います。
感じ方が、どう変わるのか???ちょっと楽しみでもあり、ちょっと不安でもあります・・・笑。