世の中には、いるんですね。すごい女性が・・・。
東大法学部主席卒業、在学中に司法試験、国家公務員1種試験合格、財務省入省・・・。
エリート街道まっしぐら。
そんな女性の自伝が出版されました。

いいエリート、わるいエリート
山口真由著 新潮新書刊 700円+税
著者は、1983年生まれ。
巻末の写真を見ると、かなりの美人。
札幌市出身・・・小中学校は常にトップ。東京へ。
筑波大付高でもトップ、東大法学部へ。
オール優で卒業生総代。首席卒業。
在学中に司法試験と国家公務員1種試験に合格。
頂点の財務省へ。
人生で負けを知らない女性・・・キャリア街道まっしぐら・・・。
天は、二物を与えています。
パーフェクト!
中学から、その真逆のルートを歩んでいた劣等生の自分としては、ため息しか出ません(笑)。
恐れ入りました。
◆目次
第1章 いい勉強、わるい勉強
第2章 いい東大生、わるい東大生
第3章 いい官僚、わるい官僚
第4章 いい弁護士、わるい弁護士
第5章 いいエリート、わるいエリート
そんな彼女・・・自身のことを「努力の人」と書いています。
勉強をしすぎて幻聴を聞いたこと、東京で地方出身のコンプレックスを感じたこと、財務省でイジメ!?にあったこと・・・法律事務所に転職したこと・・・決してスーパーウーマンでなかったことを吐露されています。
人間的で、ちょっと安心。
彼女の強さは、「勉強には努力に応じた見返りがあること」を確信して、独自の勉強法「7回読み勉強法」を開発、圧倒的な勉強時間をこなしたことにあるように思います。恋愛やテレビ、遊びを回避し、選択と集中戦術を徹底する・・・すごい努力です。
ただ、社会は、それほど甘くなく、財務省をわずか2年で退職・・・弁護士として法律事務所へ転職。
さらに、そこからハーバード大学へ留学とのこと。
オールマイティですけど、ちょっと???ですよね(笑)。
いったい、何を目指し、どんな仕事キャリアを歩まれようとしているのか?
エリートであれば、世のため人のために、保身せず、ノブレス・オブリージュを目指すべきだと考えるのは、私だけでしょうか?
アタマのいい人は、やっぱり、違うんですかね。
現代は、市場主義社会であり、組織社会。
知識は、持っているだけでは駄目で、それを成果に変える・・・実現化、換金化しなければ評価を得ることが出来ません。
さらに上下左右、人との関係性の中でタスク、プロジェクトを回していかなければなりません。
リーダーシップ、コミュニケーション力、ファシリテーション力、コーチング力など、人間力というか人徳が、特に指導者たるエリートには求められます。
これは、なかなか教科書や参考書で学ぶことのできないジャンル。
部活や遊び、スポーツといった世界で鍛えられるものだと思います。
また、仕事のキャリアは、最低5年から7年集中して取り組まなければ、専門性も仕事感覚もネットワークも身に付きません。ブラック企業で生命やメンタルに悪影響がある場合は別にして、最低5年、仕事を続けることが一つの節目となると思います。
(勝手な私論ですが、国を支える中央省庁のキャリアが2年で辞めるなんて論外だと思います。税金で負担する採用コスト、教育コスト、そして著者のために財務省に入れなかった人がいるという事実・・・エリートさんは、そのあたりの感覚も違っているのか???世間の目は・・・。)
若い人たちの中には、仕事の表面をなぞっただけで、すぐに転職したり、社会人大学院やMBAに行ったりという行動をとる人がいますが、費用対効果から言えば、大きな損失となる可能性が高いです。一種の「逃げ」「逃避」は・・・それはそれで楽しい世界なのですが・・・仕事への集中を低下させます。
学ぶことはとても良いことですが、組織、社会の中から得る学びには勝てません。
組織では、アタマでっかちのインプットばかりすることを、「お勉強」と言い、軽視されます。
完全無欠の著者・・・これからは、資本主義、市場主義、社会そして人について、世間の中で学ばれれば、「いいエリート」「すごいエリート」になれると考えた次第です。
霞が関では、キャリア組のことを「有資格」、ノンキャリのことを「たたき」と言うそうです。
そうであれば、有資格は「たたき」の仕事、人やネットワークを学び、「たたき」は、有資格の仕事から学ぶ・・・それが巨大な組織を動かすための基本的なスキルになると思いました。
ハーバード大学へ留学された著者・・・MAかPh.Dを取得して帰国されると思います。
たぶん、私立大学法学部の教員あたりになられるのではないかと思います。
未来ある若い人たちに勉強法を教授されると、世の中に大きく貢献されると思います。