リノベーションまちづくり 不動産事業でまちを再生する方法
清水義次著 学芸出版社 2500円+税
学芸出版社・・・ちょっとマイナーですが、なかなか面白いジャンルの本を出しています。
同社は、建築、まちづくりの書籍を中心に出版。
「タウンマネジャー」「中心市街地活性化のツボ」「リパブリック」「コンバーション」などの本を出しています。
地場の商店を守るために、巨大商業資本の進出を規制する大店法が制定されたり、中心市街地を活性化するための法律など、まちづくりに関わる様々な政策が打ち出され、補助金等も出されましたが、そのほとんどがうまくいっていない状況です。
TMO・タウンマネジメントや米国流のNPOディベロッパー的な再開発も、今一歩。
そんな状況の中、「リノベーションまちづくり」という手法で、神田裏日本橋、新宿歌舞伎町、北九州市小倉などで、まちの再生を手掛けてきた著者。
地道で、地域密着のタウンマネジメントの手法を分かりやすく解説しています。
◆目次
第1章 リノベーションまちづくりとは何か
第2章 フィールドワークに基づくエリアマーケティング
第3章 まち再生のマネジメント 自立型まちづくりの進め方
第4章 公民連携型・小規模なリノベーション
第5章 公民連携型・大規模なリノベーション
第6章 公民連携型の都市経営へ
同書では、まちづくりの中心プレーヤーとして、家守をおいています。
「やもり」と読むようです。
基本は、
1 志のある不動産オーナーを見つける
2 家守チームを作る
3 リノベーション事業プランをつくる
4 テナントを見つける
5 リノベーション工事を着手する
6 運営管理を継続する
というステップで進んでいきます。
その前提としてのフィールドワーク、調査。
考現学(モデルノロジー)という方法論を活用すべきと主張します。
社会風俗観察、まち観察をすることにより、新しい何かが見えてくるのです。
人口動態や賃料などの定量調査に、考現学の定性情報を加えることにより、まちづくりの土台が固まっていきます。
そして、地元の人たちとの関係づくり、パイプ作り・・・ヒューマンリレーションをよりよくしていくことにより、はじめて機能するリノベーションが進んでいくことになります。
同書では、神田裏日本橋、新宿歌舞伎町、北九州市小倉などのケースを取り上げ、具体的な解説を加えていきます。
全国各地で壁にぶち当たっている「まち再生」。
同書は、リノベーションという切り口で、新たな可能性を与えてくれる一冊だと思います。