昨日、今日とセンター試験。
受験生の皆さん、ご苦労様でした。
全力を尽くして臨んだセンター試験・・・二次試験に向けて、もう一度アクセルを踏み込んでください。
今日は、お休み。
教育に関する書籍2冊に目を通しました。
積読(つんどく)になっていた書籍です。
ある意味、教育は、誰でも語れるジャンル。
例えは悪いのですが、いわゆるタレント政治家が語るのは、教育か福祉。高度な専門性が求められる外交や財政などは、おいそれと触れることが出来ません。
それだけに難しい教育の話・・・です。
まずは、一冊目。
学力の経済学
中室牧子著 ディスカバー21刊 1600円+税
著者は、慶應義塾大学准教授。コロンピア大学でPh.D取得。専門は教育経済学。
教育について、経済学から導き出された発見は、教育評論家や子育て専門家の指南やノウハウよりも、よっぽど価値があると述べます。
データが、従来の教育定石を覆すと説きます。なるほど・・・。
ご褒美で釣っても「よい」
ほめ育てをしては、「いけない」
ゲームをしていても「暴力的にはならない」・・・
著者の大規模なデータ解析に基づく結論は、確かに新たな視点を与えてくれます。
◆目次
第1章 他人の成功体験はわが子に活かせるのか? データは個人の経験に勝る
第2章 子どもをご褒美で釣ってはいけないのか?科学的根拠に基づく子育て
第3章 勉強は本当にそんなに大切なのか?人生の成功に重要な非認知能力
第4章 少人数学級には効果があるのか?科学的エビデンスなき日本の教育政策
第5章 いい先生とはどんな先生なのか?日本の教育に必要な教員の質という概念
補講 なぜ、教育に実験が必要なのか?
同書の圧巻は、第3章の「勉強は本当にそんなに大切なのか?」。
幼児教育の費用対効果、リターンが高いことを証明します。
(年をとるとともに、教育投資のリターンが減少していきます・・・)
著者は、人生の成功に重要な非認知能力が、この時期に習得されると言います。
非認知能力とは、「忍耐力がある」「社会性がある」「意欲的である」・・・「生きる力」といったもの。
将来の年収、学歴や就業形態などの労働市場における成果にも大きく影響することが明らかになったそうです。
つまり、しつけは、とても大切なもの。
一歩学校の外へ出ると、学力以外の能力が圧倒的に大切なことが、よく理解できました。
そして、2冊目。
学歴・競争・人生 10代のいま知っておくべきこと
吉川徹・中村高康著 日本図書センター 1500円+税
著者の吉川さんは大阪大学大学院准教授、中村さんは東京大学大学院准教授。
おふたりとも教育学の若き研究者です。
受験戦争の勝ち組のおふたりが書く学歴論。
◆目次
第1章 受験戦争がなくならない理由
第2章 学校に埋め込まれた競争
第3章 受験戦争の現在
第4章 大人への道
第5章 人生の選択肢
第6章 学歴は世代をつなぐ
ちょっと期待して読んでみたのですが、内容は一般論で終始し、ちょっとプア。
10代向けに書かれた書籍というのもあるのでしょうが、まるで、教育ママの持論を聞いているかのようでした。
リベアルアーツに利き足をおいて教育論を展開された竹内洋先生と比較すると、わざわざ今回の内容を本にする必要はあるのか?という疑問も出てきました(論文や著作のカウント数は増えるのでしょうが・・・)。
文系の壁、国立大学文系不要論といったワードが脳裏に浮かびました・・・ちょっと残念。
おすすめは、学力の経済学。
子どもさんのいるお父さん、お母さんには、ぜひ読んでいただきたい一冊です。