萬文習作帖

山の青年医師の物語+警視庁山岳救助隊員ミステリー(陽はまた昇る宮田と湯原その後)ほか小説×写真×文学閑話

睦月三日、福寿草―Eden

2019-01-03 22:21:02 | 創作短篇:日花物語
楽園にて、
1月3日誕生花フクジュソウ


睦月三日、福寿草―Eden

黄色い陽だまり、春が咲く。

「おじいさん、ここにも咲きましたよ?」

ほら君が呼ぶ、いつからその呼び名だろう?
おだやかな春の声に考えながら微笑んだ。

「よく咲いてるな、だが、おじいさんじゃないだろう?」
「あら?」

陽だまり黄金色、おだやかな声が振り返る。
かすかに甘い空気ゆれる庭、花のたもと笑いかけた。

「おまえにとっての僕は、お祖父さんじゃないだろ?齢もそんなに離れているわけじゃない、」

こんなこと今更だろう?
それでも言ってみたい春の午後、銀髪の妻が笑った。

「そうですねえ?じゃあ、あなた?って呼べばいいかしら、」
「うん、それでいい、」

微笑んで庭下駄からり、足もと黄金の花が咲く。
いつのまに花こんなに増えたろう、あざやかな春の色に妻が言った。

「でもね?私も、おまえじゃないわよ?」

呼び名に妻が笑いだす、黒目がちの瞳ほろり和ませる。
こんなふう黙ってなんかいない妻に可笑しくて笑った。

「そうだなあ、じゃあ…ヒサコサン?」

ああほらくすぐったい、笑いたくなる。
ほらほら名前で呼ぶなんて?

「あら?ひさしぶりに呼ばれたわ、」

ほらほらほら妻が笑いだす、黒目がちの瞳くるり可笑しがる。
この仕草ずっと好きだった、この重ねこんだ幸せに頭つい掻いた。

「そんな笑うなよ?照れくさくなるだろ、」
「あら、私こそ照れくさいわよ、」

ああほらほら君が言い返す、黒目がちの瞳くるり僕を見る。
見あげてくれる睫まだ霜はおりない、このままと願う眼ざし春を見て。


福寿草:フクジュソウ、花言葉「幸せを招く、永久の幸福、最上の愛、悲しい思い出」

心温まる生活116ブログトーナメント
にほんブログ村 小説ブログ 純文学小説へにほんブログ村 純文学ランキング
著作権法より無断利用転載ほか禁じます

PVアクセスランキング にほんブログ村
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

正月星月×雑談

2019-01-03 07:26:00 | 雑談
元日+2時間=1月2日AM2時、家を出て東名高速道路ひたすら西へ。
渋滞どこにも無かったけれど時間のわりに車が多く、サービスエリアも車わりといて、
けっこうみんな深夜移動するんだなー思いながらSA歩いていたら・車中睡眠中やっぱり多いワケで。

そんな途次あちこちSAに立ち寄りながらが楽しい、笑
そんな途中のサービスエリア上空・有明月×星がきれいだった。
有明月=別称・下弦後の三日月、月齢26日くらい


なんでもいいよ43ブログトーナメント
撮影地:静岡県2019.1.2


にほんブログ村 小説ブログ 純文学小説へ
にほんブログ村 純文学ランキング
著作権法より無断利用転載ほか禁じます

PVアクセスランキング にほんブログ村
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする