萬文習作帖

山の青年医師の物語+警視庁山岳救助隊員ミステリー(陽はまた昇る宮田と湯原その後)ほか小説×写真×文学閑話

七夕の珠露、万葉集

2021-07-07 21:43:17 | 文学閑話万葉集
乞巧奠、天の珠露
大伴家持×七夕


七夕の珠露×万葉集
秋草に おく白露の あかずのみ あひ見るものを 月をしまた年  大伴家持
あきくさに おくしらつゆの あかずのみ あひみるものを つきをしまたね
秋草尓 於久之良都由能 安可受能未 安比見流毛乃乎 月乎之麻多牟

秋草に白く光る朝露がきれいだ
もう朝だけど君との時間は飽きなくて、まだ見つめあっていたい
だから朝の白露が夜の月に見える、まだ夜は明けないでほしい、だから扉まだ開かないでよ?
このまま夜の月を待って、また寝てしまおうよ

七夕の歌八首のひとつ『万葉集』第二十巻4312番歌です。
七夕に独りで天の川を見ながら詠んだと伝えられていますが、
天の川を見る=七夕の夜に・朝の白露を詠んだ、ということになります
そうすると、

天の川の星を朝露になぞらえた
天の川を見ながら逢う刻限を待ちかねていた=朝露を一緒に見る予定の恋人へ宛てた歌

秋草、白露、月、秋の季語をつらねて七夕に天の川と詠んだ歌
旧暦七夕は今の8月・秋は=7~9月、七夕も秋の季語になります
七夕行事といえば「乞巧奠きっこうでん」でした

乞巧奠は中国由来の行事で、織女に裁縫の上達を願ったことに始まります
そして日本に伝わると、作歌や習字の上達を願って短冊を笹飾りにしました

この歌もそんな夜に詠まれたわけですが、
詠み人の大伴家持は名高い歌人&恋愛譚も有名です
そして平安京「応天門=大伴門」を司った武門の一族の人で、政治家としても有能だった為に波乱万丈の生涯でした
死後も一族が罠に嵌められ没落しますが、家持の没後20年ようやく汚名は晴らされています

万葉仮名の原文「安可受」は「あかず」と読みます、これは「秋草」と呼応です。
あかず=飽かず→飽きず=「秋ず」、また「開かず」「明かず」とも音重ねます。
なので解釈もソンナ感じにしてみました
七夕の歌『万葉集』第二十巻4312番歌


夜ひと息、七夕だなーと久しぶりに万葉集×写真UPしてみました。笑
早く越境して山歩けるよーになりますよーに。
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