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交通安全教室の最後に話した「校長先生の話」・・・手紙の力を借りる

2021年04月27日 | 学校経営
 交通安全教室では、安全な道路の歩き方や自転車の乗り方を学ぶ。

 その交通安全教室の最後に、「校長先生の話」というものがある。

 自分は、少しでも「交通安全に気をつけよう」という意識が高まるような話をしたいと考えた。

 そこで、手紙の力を借りることにした。

 事故の当事者の方の言葉は重い。迫力もある。

 自分自身が泣いてしまうかもしれないと思いながらも、次のような話をした。





 是非皆さんには、心がけてほしいことがあります。

 それは、「自分の命は自分で守る」ことができる子になってほしいと言うことです。

 おうちの人が近くにいない時でも、自分で考えて命を守る行動ができるようになってほしいです。

 もうすぐ連休が始まります。子供だけで過ごすことがあるでしょう。

 子供だけ、自分だけで過ごすときも、命を守る行動をとれるようになってほしいです。

 もし、君たちが交通事故にあったら、おうちの人は、とてもとても悲しみます。

 どんな気持ちになるのか考えたことがありますか?


 今から、交通事故で子どもを亡くしたお母さんの手紙を読みます。


 「直樹を失って」


 今朝ネ、直樹の夢を見ました。

 パタパタと走って来て、あの頃と同じように私のお腹の上に乗って来たので「アッ、直樹だ」と思い、ギュッと抱きしめてとても幸せでした。

 直樹は、平成9年8月29日に6歳と7ヶ月で交通事故によって亡くなった私の次男です。

 相手は大型ダンプで、直樹は塾に行く途中の自転車でした。

 死因は脳挫傷でした。身体にはほとんど傷もなく、まるで眠って居るようでした。

 でもその眠りは二度と覚める事はなく、あとの数時間は直樹の命が消えて行くのをただ見守る事しかできませんでした。不思議な数時間でした。

 直樹を失って、様々な変化が起こりました。

 直樹に直接「塾に行く様に進めた」祖母(義母)が自分自身を責めて、事故のあった土地には辛くて居られないと言って引っ越してしまいました。

 ただ一人の弟を失った長男は、以前にも増して甘えっ子になり、一人で居るときは「つまらない」を連発します。

 事故の前夜、二人で楽しく遊んでいた姿が焼き付いて離れません。

 又、私には未だに直樹の行っていた公園にいけませんし、好きだったマーボー豆腐も作れなくなりました。

 以前、よく人は「○○のことは一日も忘れたことがなかった」などと言う言葉を耳にし、そんなことがあるかしら?と思っていましたが、直樹を失ってそれは本当だと判りました。

 特に、夜寝るときに思い出しては涙が出て眠れなくなり、不眠症状態になったこともあります。

 一生抱えて生きていくのはもう辛くてイヤだと、私はサッサと死んでしまいたいと何度も思い、その度に、遺される子供のことを思って頑張り、いつかは直樹に会えるのだからと自分に言い聞かせています。

 交通事故は、悲劇です。一生続く傷を心に刻み付けています。

 今、私は車の中に直樹の写真を乗せて運転をしています。

 今日の被害者が明日の加害者にならないように、直樹の顔を見ては安全運転に心掛けています。

 私のお友達も弟さんを事故で失っています。

 こんな思いをする人々が一人でも減ることを心から願ってなりません。

 私は、今日も寝るときに直樹に話しかけます。「夢でいいから出てきてネ、お母さんは直樹に会いたいの」と‥。

     『癒されぬ輪禍』(北海道警察本部監修、財団法人北海道交通安全協会発行)より

  https://www.npa.go.jp/hakusyo/h17/hakusho/h17/html/G1000002.html
 


 もし、君たちが交通事故にあったら、ケガをしたら、死んだら、必ずおうちの人はこのお母さんのような気持ちになります。こんな気持ちにさせてはいけません。


 子どもの交通事故の原因で一番多いのは何だと思いますか?・・・そうです。「飛び出し」です。

 交差点や道路を渡るときは、しっかり止まって、左右を確認して、渡るようにしましょう。

 「自分の命は?」・・・(自分で守る)  心がけましょうね。
コメント
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